ランス10STORY

「創造神」ルドラサウム。

世界はこの存在によって作られた。

次にルドラサウムは3柱の神を生み、世界を任せた。
自分が退屈しないよう、常に楽しい見世物になるようにせよと。

この3柱を「三超神」と言う。
三超神は世界の仕組みを作り、それを運営する為の神や天使、
そして様々な生き物を生み出す。

この世界において、魔王も、魔人も、モンスターも、そして人間も、
創造神を楽しませる余興の演者でしかない。

「勇者」とは、勇気と力を兼ね備え、偉業を果たした者を指すのが一般的であるが、
この世界においては、舞台を盛り上げる為に神が作りだした物である。

ルドラサウムの為に三超神が用意した演目は、
最強の存在である魔王に、他の生き物がどう立ち向かうかを見せるものであった。

魔王は自らの血で無敵の魔人を生み出し、大量のモンスターを率いて、魔王軍を作り上げた。

対して、神は戦わせるための生き物を生み出し、その種族を「メインプレイヤー」と呼んだ。
長い時の間に、2つのメインプレイヤーが作られ、廃れていった。

そしてついにメインプレイヤーとして「人類」が創造される。

人類はあまり力の強い生物には設定されなかったが、魔王軍とのバランスをとる為、
一つのハンディキャップを与えられた。

それが「勇者システム」。

全人類から一人、選ばれた者に、魔王を討つ力が与えられる。
しかしその力は膨大な数の人類が殺されねば発揮されることはない。

たくさんの人が死に、幾人かの勇者が魔王に挑んだ。

長い時が流れた。
未だ魔王は倒されておらず、人類もまた滅びてはいない。

かつて、「勇者」だった男がいた。

人が勇者でいられる時間には限りがある。
13歳でその力を与えられ、7年の後、奪われる。

男は一度、魔王を討つ機会に恵まれた。
しかしそれは出来なかった。
人類に敵対するものとは到底思えない姿をした魔王を前に、男は剣を収めた。

間違ってはいないと思っていた。
そして時は過ぎ、男は勇者ではなくなった。

温かな村。優しい人々。可愛い恋人。穏やかな時間。
たった今、その全てを失った。

魔物がいるから。僕が魔王を倒さなかったから。

魔物軍に襲われ、焼かれる村で男は悔いた。

そして奇跡が男を勇者に戻す。

魔王を殺す。
魔王を守ろうとするものも全て殺す。
その為ならどんなことでもやる。
力を得るのに必要ならば、人などいくらでも見殺しにしてやる。

魔王は殺さなければならない。
魔物の脅威から、人類を救う為には。

誰もいなくなった村から、
勇者アリオス・テオマンが二度目の旅に出発した。