ランス10STORY

神へ捧げる余興の、一方の主役として作られた最強の存在「魔王」。

地上で最高の戦闘力を持ち、無敵で不老不死。
自身の血を他に与え、強大な力を持つ「魔人」に変える能力を有した破壊と殺戮の権化。

それは誰か一人を指す言葉ではない。

魔王となる期間は1000年と定められており、それは他に継承される。

まだこの世に人類も存在しないほどの昔。

その小さな生き物は、魔王の血を与えられ、魔人ケイブリスとなった。
しかし彼は弱かった。弱かったが、諦めることをしなかった。

彼に血を与えた者から、別の者に「魔王」は継承され、そしてまた次の者へ。
ケイブリスはその様子を見ていた。幾代もの魔王に仕えた。

ただ「最初に魔人になった存在」というだけだった彼に、長い時は力を与えた。
その間、彼はひと時も、力をつける努力を忘れなかったのだ。
それは積み重なり、大きな力となった。

最強最古の魔人。
この世にはもう、自分より強い相手など魔王しか存在しない。

年月は過ぎ、魔王が継承される時が来た。

今、この世で魔王に最もふさわしいのは自分だ。
彼はそう信じて疑わなかった。

魔王になったのは、少女だった。

少女はそれを望まない。しかし魔王は継承されてしまった。
破壊も殺戮も好まない少女は、その力を捨てる方法を求め姿を消す。

魔王になれなかったケイブリスは、やはり諦めなかった。

無敵であるはずの魔王がなんらかの手段で殺された時、殺した者に魔王は継承される。
彼は知っていた。実際にその様子をそばで見ていたのだから。

魔王がその力をふるおうとしないのならば、殺すことも出来るはずだ。
動き出すべき時が来たと彼は悟った。

少女を玉座につかせようとするものと、玉座を奪おうとするもの。
王不在の魔物界で、魔人達は2つにわかれ、熾烈な争いを繰り広げた。

戦いは終わり、魔人ケイブリスは魔物界の王となる。

逃げた魔王を求め、全魔物軍による人間界への進撃が開始された。

少女は逃げる。魔王の力から。魔王の力を欲するものから。
魔王を殺して人類を救おうとする者から。