後 編


強者共が夢のあと


 仄暗い部屋の中、聞こえてくるのは苦痛の呻き声と、嗚咽にも似た溜息・・・
 部屋の中には人が10人以上もいると言うのに・・・
 誰も言葉を交わそうとはしない。
 そんな中、龍は立ち上がると照明のスイッチを探る。
「どれ。一度電気を点けるか(パチッ☆)ん?うぉ?!」
 だが、灯された明かりの下に広がる、強者共の死屍累々の光景に、龍は思わず息を呑
んでいた・・・


 さて、第1回目の闇鍋が終了した直後のこと・・・
「・・・大下、村田。傷薬いるか?」
「いや、大丈夫だ。それにしても・・・」
「暗闇の中でも、姐さんの缶は正確にヒットだったッス・・・」
「あぅぅ・・・口の中が・・・」
「腹の調子が・・・」
「胸やけするぅ・・・」
 皆、一様にして憔悴し、目には生気がなく、ある者に至っては傷さえ負っている。
 ここは・・・戦場であったであろうか?
 否、ここでは単なる「鍋パーティー」を行っていたハズだ。
 そんな中、まぁ、一人だけ一番被害の少なかった龍は、必死に烏龍茶でうがいをして
いる由香里に向かって微笑んだ。
「な、なぁ由香里君。このあとは『普通の鍋』をだねぇ・・・」
「む゛?!(ガラガラ☆ゴックン♪)ナニを言ってるンですか龍さん!」
「いや、しかしだね・・・」
「次は絶対に『目にもの見せてやる』んです!だから次の鍋の準備を!」
「ぉぃぉぃ・・・はぁ・・・こりゃ無理だな・・・」
 血走った瞳の由香里に、龍はガックリと肩を落として台所に向かった・・・


 さてさて、新たな鍋が準備され、コレまた一煮立ちした頃・・・
「(グツグツグツ☆)はぁ・・・煮えてしまったか」
 鍋の中で揺らいでいる昆布を眺め、龍は深い溜息をつく。
 何故に鍋の中の昆布にコレほどの絶望感を覚えるのかは判らないが、とにかく、龍は
昆布の最後の姿に悲しみを感じていた。
 そんな龍の気持ちなど、まっっったく構わず、由香里は鍋に躙り寄ってくるメンバー
をグルリと見回す。
「んじゃ次で最後ですからね?!心おきなく材料を入れてください!」
「龍さん、早く電気を!」
「か、和美君まで・・・やれやれ(パチッ☆)はい、消し・・・」
「てぇええい!(バチャッ!)」
「おりゃああ!(ボチャッ!)」
「おいおい。和美君も由香里君も、そんなに気合いを入れて入れなくても・・・」
「でぇえええい!(ドプドプドプドプ☆)」
「ぉ?!な、夏美!テメェ、ナニを入れた?!液体の音だったぞ?!」
「ぜぇぜぇ・・・言ったら闇鍋にナンないでしょ!?」
「ナニを言って(つ〜ン☆)おわぁ?!ナンだこの目にしみる匂いは?!」
「うわ・・・夏美さん。もしかして『キムチの素』を入れました?」
「あ・・・やっぱ判る?」
「あ、姐さん。それよりも、どのくらい入れられたのですか?」
「やけに目に染みるッスよ?」
「お徳用の1.5リットルを全部入れちゃった♪」
「でも、食材としては・・・」
「大丈夫よ。他にも入れたから♪」
「・・・はぁ・・・んじゃ、一煮立ちするまで誰から食べるか順番を決めますか?」
「ん・・・」
 あぁ〜ぁ・・・もはやお通夜の席である。
 そして5分後、順番も無事に決まり、材料も程良く煮えた・・・
「煮えたか・・・」
「えぇ・・・煮えたわね・・・」
「んじゃ、蓋を(パカッ☆・・・むわ〜ン♪)っぉお?!」
「な、なによこの臭いは?!」
「先程とは・・・違いますね・・・」
「目に染みるッス!?」
「だ、誰がナニを入れたらこうなるわけ?!」
「はーい、みんな騒がない騒がない♪」
「・・・夏美、お前随分と冷静だな?」
「ん〜?気のせいよ♪」
「・・・そうか?俺にはこの『異臭』の元凶が、お前のせいじゃないかと思っているん
 だがな?!」
「・・・んじゃさっき決めた通りの順番で・・・確か、和美ちゃんからだったわね?」
「・・・はい和美ちゃん。穴あきのお玉」
「ん。では(グリュグリュッ♪)・・・なんか、カレーのような手応えが・・・」
「い、言わないでよ和美・・・」
「ゴメン(グリュ♪ドプッ☆)取れた・・・んじゃ、いただきます(モニュ☆)」
「・・・ど、どうだい和美君?」
「か・・・」
「か?」
「からーーーーーーい!(モニュモニュ♪)んで、あまーーーーーーい?!」
「なんだそりゃ?」
「和美ちゃん!ハイ、お茶!」
「ん!(んぐんぐんぐ☆)だ、誰ですかぁ?!鍋に『芋羊羹』なんか入れたの?!」
「申し訳ない和美御嬢。そりゃワシでさぁ・・・」
「お、大下さん・・・私にナニか恨みでも?!」
「い、いや。そんなつもりは・・・」
「むぅぅううう!龍さん夏美さん、実は大下さんが異世界で綾子を・・・」
「ひいいいいいいいい!?か、和美御嬢ぉおおお!お許しをぉおおおお!」
「あぁ〜ぁ・・・次は誰だっけ?」
「早苗だよ・・・んじゃ(グリュ。チャポッ♪)う・・・」
「さ、早苗。辛いから気を付けてね」
「う、うん(モグッ♪ポリッ☆)んむ?なんだろ?辛いけど、鰹節の味がするよ?」
「カツオブシ?」
「うん(カリポリカリポリ☆)んでも、ナンか薄味で、辛いのがちょうどイイよ?」
「なんだろそれ?」
「ふっふっふ・・・そーかそーか。やっぱ化けネコは旨いとカンジるか♪」
「孝司?あんたの?」
「あぁ。俺が作った『特製グルマルキン焼売』だ」
「な、中にナニ入れたのよぉ?!」
「・・・ネコまっしぐらの『かりかりキャットフード』だ♪」
「こ、殺すぅ!」
「やれやれ。次は孝司の番ね・・・」
「おぅ。あぁ〜☆イイ気分だ♪どれどれ(グリュ。ボチャッ☆)な、なんだぁ?随分と
 大きいな?まぁいいや(モグ。グニュウ☆)はひ?」
「どう?どんな味?」
「んむむ(モギッ!モグモグ)んん?なんだこりゃ?えらい硬いな?おまけに長い」
「長い?」
「ん(ボリボリボリ☆)なんだろ?鳥の軟骨みたいな味が・・・それも、味が薄いな?
 こっちも辛さがちょうどイイなぁ。誰のだろ?」
「・・・ふへ♪」
「ん?早苗?もしかして、あんたの?」
「な?!・・・畜生!早苗のだったか?!」
「やっぱ、負け犬のあんたには美味しいんだ♪」
「早苗ちゃんのでしたか」
「うん♪それ、早苗の『特製ケルベロス春巻き』だよ☆」
「ナニ入れたわけ?」
「てめぇナニを入れた?!」
「・・・わんこ大好き『ほねホネっこ』を・・・キャハハハハ☆」
「ぶっ殺す!」
「はぁ・・・せめて人間が食べるものをだねぇ・・・で、次に食べるのは誰だい?」
「確かあたしだったっけ?」
「ハイ。次は悦美ですよ。ハイ♪」
「んじゃいくねぇ〜。あたしは辛いのは別に平気だからいいけど(グリュ、チャポ♪)
 こりゃナニかなぁ?ま、いっか。いっただきまーす♪(モニュ☆)んん?」
「どうしたですか悦美?ハイ」
「ほれ、もひだわ」
「お餅ですか?ハイ」
「えぇ(モニュモニュ♪)・・・うえ?!」
「ど、どうしたですか?!ハイ!?」
「だ、誰ぇ?!鍋に『バナナ大福』なんて入れたのぉ?!」
「ば・・・バナナ大福・・・」
「和美の芋羊羹とイイ勝負ね・・・」
「んで、誰が入れたわけ?」
「あぅ・・・ごめんなさいですぅ」
「なに?!ま、磨鈴よ。これまた随分なものを入れたな?」
「だってテレビで四国のドコかでは、こーゆーのが入ったお雑煮があるって・・・」
「それは普通の大福じゃなかったかな?」
「ぜんざいみたいなのじゃないの?」
「でもでも、テレビでは美味しそうだったので・・・」
「・・・夏美先輩」
「ん?なに悦美ちゃん?」
「鍋に磨鈴ちゃんを入れますんで、一緒に食べちゃいません?」
「喜んで♪」
「んみゃあああああ?!」
「次は・・・大下さんですか?ハイ」
「へい。では(グ〜リュグ〜リュ、ボテッ♪)な、なんだぁ?随分と重さがあったぞ?
 まぁ良い。では(モグッ♪)・・・くっ?!」
「ら、羅刹様?!」
「どうしたッスか兄貴?!」
「こ、これは・・・このキャベツの味は、紛れもなく『ロールキャベツ』だ!」
「あ・・・私のですね♪」
「美貴御嬢のッスか?」
「あら?ロールキャベツなら当たりじゃない。良かったわね大下♪」
「姐さん・・・想像してくだせぇ」
「はぁ?」
「純粋な美味しいロールキャベツが、キムチの汁にまみれ・・・」
「わ、悪かったわね・・・」
「・・・更に、中の挽肉から染み出す『メープルシロップ』のジューシーさを!」
「ん(ブバァッ!)み、美貴ちゃん?!」
「てへへ☆特製の『煉獄のロールキャベツ』です♪」
「うわ・・・」
「ちなみに、もう1個ありますんで、当たった人は頑張ってくださいね☆」
「メープルシロップが・・・もう1個」
「まさか♪もう1個は違う味ですよ☆」
「・・・」
「つ、次は智子君だったかな?」
「ハイです。では(グリュ、ダポッ♪ポチャッ☆)あぁ!?」
「ど、どうしたの智子?!」
「・・・ふ、二つも入ったです・・・ハイ」
「あたしが一つ食べ・・・」
「ダメ!それはルール違反よ!」
「由香里!お願い!あたしと智子は二人で・・・」
「だ、大丈夫です悦美。智子、食べるです、ハイ(モニュ♪)・・・あぅ」
「あぁ・・・智子ぉ・・・」
「・・・あぅ」
「と、智子?大丈夫?」
「あぅぁう・・・」
「智子?!今、お茶を飲ませてあげる(グイッ!)ん・・・」
「ん・・・」
「・・・ちょっと悦美。もしかして口移しで飲ませているわけ?」
「ん・・・」
「ふふ♪・・・綾子ちゃん。お茶が欲しい時は、あたしに言ってね♪」
「あ、あの・・・」
「綾子君(カチャッ☆)包丁はココだからね」
「あ、あぶないでしょ?!ちょっとした冗談よ・・・んで、智子ちゃん。ナニを食べた
 わけ?」
「はぁ・・・はぁ・・・き、キムチ味の『生八つ橋』でしたです。ハイ」
「な、生八つ橋ぃ〜?!誰よ、そんなもん入れた荒くれ者は?!」
「・・・はい」
「あ、綾子君?!」
「お婆様が、お土産で買ってきてくれたので・・・」
「そ、そう・・・智子ちゃん、もう1個は?」
「は、はい・・・では(モグッ☆)・・・」
「智子君?」
「どうしたの智子ちゃん?」
「・・・(カチャン☆バッタリ♪)ぅ」
「わ〜?!智子が倒れたぁあああ!?」
「と、智子!しっかりして!今、口から取ってあげるから!ん!」
「おいおい・・・ナニを食べたんだ?今、明かりを・・・」
「龍さん待った!幾らナンでも、毒が入っているわけではありません!このまま続行を
 しましょう!」
「ちょっと由香里!そんなこと言ってる場合じゃ・・・」
「ん・・・んぁあ!?」
「ど、どうしたの悦美?!」
「こりゃ智子は倒れるわよ。智子が大嫌いな『レバー』が・・・」
「なんだ・・・嫌いなモノだったわけ・・・」
「んにゃ、そのレバーだけど『イチゴジャム』の味がする・・・あたしも倒れそう」
「あはは・・・ごめんね智子ちゃん」
「もしかして、美貴さんの・・・」
「えぇ。特製『イチゴジャムレバー』入りの、ロールキャベツ・・・」
「もはや殺人未遂よ・・・」
「ゴメン・・・」
「んで、次は誰が食べるんだっけ?」
「・・・は、はい」
「綾子ね・・・」
「うっく(ぽちゃ)ひ、一つだけでした」
「んじゃ食べて」
「はぃ(むにゅう☆)ぅ・・・」
「だ、大丈夫かい?」
「はぅ(ニッチャニッチャ☆)あの・・・このお菓子はナンというのでしょう?」
「うわ・・・お菓子だったの・・・ナニ味?」
「キャラメルとチョコとピーナッツがぎっしりと・・・」
「ふふふ♪それ、私の入れた『ス○ッカーズ』だわ」
「か、和美君・・・」
「は〜い、サクサク行きましょぉ〜♪次は磨鈴ちゃんね」
「は、はいですぅ!では(ポチャ)あ?小さいですぅ☆」
「おぉ!それは良かったな磨鈴よ♪」
「では、いただきますですぅ。あ〜(シャクッ☆)ん?なんだろ?この歯ごたえは、お
 野菜かな・・・って!?んみゃあああああああああ?!」
「ど、どうした磨鈴よ!?」
「うえぇえええん!美味しくないですぅ!辛くて甘くて苦いですぅ!」
「随分と厄介な味ね?誰か心当たりある〜?」
「ふっふっふッス・・・それはおそらく、あっしの入れた『高麗人参』ッスよ♪」
「あぁ。成る程ね。良かったわね磨鈴ちゃん。結構、高価な食材よ」
「あぅあぅあぅ〜」
「次は美貴さんね」
「はい。では(チャポッ☆)あれ?私も小さいな?では、いただきます(アム☆)」
「どうだい?」
「ん(モニュモニュ☆)ちょっと辛いけど・・・おいし〜い♪」
「え?!」
「今日初めて聞いた言葉だわ・・・」
「美貴ちゃん、それどんな味なの?」
「ええと、フライなんですけど、舌触りが良くて口当たりも淡泊なのに、しっかりとし
 た味があるんです。誰ですかコレ入れたの?」
「おそらく俺だな・・・」
「龍のなの?」
「あぁ・・・旨いか?美貴?」
「はい♪今まで食べたことが・・・あ?!もしかして、魚の白子のフライですか?」
「チョッと違うな・・・まぁ、食感は似てるがな」
「龍さん、ナニを入れたんですか?」
「・・・まぁ、待ってくれ。美貴、食べたか?」
「え?えぇ、全部食べちゃいましたが・・・あの・・・ナニを?」
「羊だ・・・」
「ラム肉?」
「でも、お肉っぽくは無かったですよ?」
「まぁ一応、ちゃんとした食材だから心配するな。次は・・・」
「ちゃんと言ってくださいよぉ!」
「羊の・・・」
「羊の?」
「・・・羊の『脳味噌』だ」
「んぶっ?!」
「脳味噌って・・・龍さん『BSE』がまだ世界で真っ直中の時に?!」
「み、美貴ちゃんが狂牛病になっちゃうよぉ!?」
「りゅ、龍さんを殺して私も死んでやるぅう!」
「待て美貴!(ブスッ)イテ?!(ザクッ)イテテ!は、箸を刺すんじゃない!」
「うわ・・・龍さんもスッゴイなぁ。しょーもないところでお金を掛けちゃって」
「なにホッとしてんのよ由香里。次はあんたの番よ」
「あ、そっか。どーれ、ナニが出るかな?(ぐるぐる、ジャポッ☆)ん?」
「どうしたの?」
「いやね・・・手応えがチョッと妙だったのよ」
「どんな風に?」
「・・・手応えがあったよーな、なかったよーな」
「はぁ?」
「まぁ食べてみるけど・・・ってか、啜るしかないのね」
「辛いんじゃない?」
「ん、辛いのは得意だから別に(ジュル☆)ん?ナンか豆腐みたい・・・」
「柔らかいの?」
「んん〜(モニュ☆)ぅ・・・」
「・・・ん?どしたの由香里ちゃん?」
「ぅ・・・」
「由香里?大丈夫?」
「誰よ・・・」
「え?」
「誰よ・・・鍋に『焼きプリン』なんか入れた命知らずは?!」
「あ。多分それ智子だわ。ナンか焼き豆腐みたいだからって・・・」
「・・・悦美、智子はまだ意識を失っている?」
「ゴメン由香里。ナニするかは知らないけど、あたしが代わりに謝る」
「えと、次はどなたでしたでしょうか?」
「あっしッスね。では(グルグル、ボチョ♪)おんや?ッス」
「どうしました村田さん?」
「ナニか大物がかかったッス。こりゃらっきーッス♪」
「ラッキー・・・なんでしょうか?」
「遠慮なく頂くッス。あ〜む(ゴリッ!バリッ!)あひ?」
「な、なに?!今の硬い音は?」
「村田さん、鍋の蓋でも囓ったんですか?!」
「ん(ボリボリ、ぼ〜り♪)くっ!?」
「やっぱり蓋でしたか?!」
「それともお鍋ごと?!」
「に、にがいッス・・・厳しいッス・・・」
「それじゃわかんないわよ?ナニ食べたの?」
「食感は野菜っぽかったッス。しかし、スッげー苦いッス」
「あ・・・それ、あたしの『ゴーヤ』だと思います・・・」
「うわ・・・でも悦美、調理はして・・・」
「ううん。皮付きのそのまま♪」
「そりゃ苦いわ・・・まぁいっか。次はいよいよ・・・」
「夏美さんですね」
「あれ?そー言えば、由香里と夏美さんの食材、まだ出てないですよね?」
「え・・・あ。そー言われると・・・」
「んじゃナニか?最後の俺はどっちを喰ってもタダでは済みそうにないのか?」
「・・・ゴメン。龍」
「・・・すいません。龍さん」
「お、おいおいおい!?由香里君はともかく、夏美。本当に悪いと思うなら、自分のを
 取って食えよ!」
「絶対にヤダ♪えーと・・・ここかな?(チョポッ☆)ん?なにこれ?随分と小さなモ
 ノが入ったわ。あたしンじゃないわね・・・由香里ちゃん、ナニ入れたの?」
「・・・ごめんなさい」
「・・・(ヒクッ☆)へ?」
「お願いです。ナンでもしますから・・・命だけは・・・ご勘弁を・・・」
「ゆ、由香里ちゃん・・・なにを・・・」
「イイから食え♪」
「ナニよ龍。その嬉しそうな声は?!」
「由香里君がここまで言うんだから、きっと素晴らしいモノが入っているぞ♪」
「・・・くっ」
「夏美さん・・・ごめんなさい・・・」
「由香里ちゃん。コトと次第では、今夜はアタシん家に泊まって貰うわよ?」
「・・・はい」
「ぇ・・・う、うそ。そこまで?!」
「覚悟は決まったか?夏美?」
「・・・えぇい!(パクッ☆モニュ♪)ひぃいいいいいいいいいいいいい?!」
「ぉお・・・予想以上にイイ反応だな♪」
「な、夏美さん!?」
「みみみ、みふふふふう!」
「え?!お水ですか?!」
「はい!」
「んごばばばばばばばばばばば!」
「すっげー。豪快なうがいですね・・・」
「んで、由香里君。夏美にナニをかましてくれたんだね?」
「あの・・・『ハバネロ』・・・です」
「ぇ・・・それは『ハバネロ味のお菓子』ってことかい?」
「いえ。そのまま・・・」
「・・・テロリストだなぁ」
「龍さん、由香里さんの入れたハバネロって、なんなのですか?」
「和美ちゃん、知ってる?」
「ううん。聞いたこと無いわ。孝司は?」
「ナンか聞いたことあるような・・・昔にスナック菓子で見た覚えが・・・」
「ハバネロってのは、世界一辛い唐辛子のことだよ。米粒くらいの欠片を囓っても、タ
 バスコなんて目じゃないくらいの辛さがあるんだ」
「うわぁ〜・・・んで、由香里はそれをどのくらい入れたわけ?」
「・・・丸ごと・・・夏美さん。ごめんなさい・・・」
「ぜぇ、ぜぇ!由香里ちゃん、今夜は覚悟してね!んごばばばば!」
「由香里、冥福を祈るわ・・・んでは最後に龍さん。どうぞ」
「ん(ぐりぐり、ジャポッ☆)おい・・・夏美」
「あひ?」
「てめぇ・・・随分なモノを入れたな」
「・・・へ☆」
「え?龍さん、感触で判ったんですか?」
「あぁ・・・喰って食えないことはないが・・・どーやって喰うんだよ!?」
「んぼぼぼ!(ゴックン☆)イイから喰いなさいっての!」
「ねぇ由香里。もぉ明かりをつけてもいいんじゃない?」
「ん〜、それもそうね。食材も出終わったことだし・・・」
「んじゃ、早苗が電気点けるね〜☆」
「え?!早苗ちゃん!チョッと待って!」
「な?!綾子君!こっちを見てはダメだ!」
「へ?(パチッ☆)ナンでなの夏美さ・・・ひぃ!?」
「え?龍さん、どうして・・・きゅう」
「うわ?!綾子!?いきなり気を失ってどうし・・・わぁ?!」
「りゅ、龍さん!その箸で摘んでいるの?!」
「きゃあああ!?夏美さん!そんなモノを鍋に入れてたんですか?!」
「う・・・なんか俺、気持ち悪くなってきた・・・」
「あたしも・・・智子が起きてたら、綾子ちゃんみたいに倒れてたかも」
「ナンでもイーから早く食べちゃいなさいよ!」
「うるせー!テメェのせいで、綾子君が気絶しちまったじゃねーか!?」
「はわわわ・・・羅刹様ぁ。アレはなんて名前なんですか?」
「ん?あれはな『マムシ』と言う蛇だ」
「う〜ん、丸ごと一匹なんて、さすがは姐さんッス♪滋養強壮ばっちりッス☆」
「オラ夏美。お前に(ポ〜イ☆)やる」
「いらない(ベシッ!)わよ!」
「い?!夏美さん!こっちに(バシッ!)飛ばさないでくださいぃ!」
「きゃああ?!和美!あたしに(ベシッ!)飛ばさないでよ!」
「ひっ?!(ボテッ、ブラン♪)みゃああああああああ?!」
「ま、磨鈴よ!今取ってやるぞ!(ポーイ)」
「ぉわ!?(ベシッ!)うわっ!?」
「にゃああああ?!(ベン!)孝司のバカああ!」
「ん?(ビトッ♪)・・・いただくッス♪(ボリバリボリバリ☆)」
 あぁ〜あ・・・結局、コイツらは普通に鍋を囲むことも出来ないのか?
 まぁ、それが一番にあっているのかもしれない・・・
 高校生活など僅かな一時・・・
 目一杯に楽しんで、苦しんで、悲しんで・・・
 その「証」を・・・
 その「友」を・・・
 その「時」を・・・
 忘れないで欲しい・・・


 では最後に、皆からの一言を♪
 まずは和美君から。
「な・・・なんか・・・身体がポッポする・・・」
 そりゃ智子君の「ガラナエキス入りワンタン」のせいでしょう。
 次は由香里君。
「おっかしいなぁ・・・もうちょっと楽しいかと思ったんだけど・・・」
 そりゃぁ、君のせいでしょう。
 んで綾子君は・・・
「・・・ぅ」
 あぁ。気絶したまんまでした。
 早苗ちゃんは?
「孝司殺す!」
 孝司君は?
「早苗潰す!」
 二人とも、是非とも頑張って貰いたいモノです。
 美貴君は?
「あんまし食べられなかったなぁ。お腹空いた〜」
 当たり障りのない発言ですな。
 悦美君と智子君は?
「ん・・・」
「・・・ンん〜♪」
 はい、二人とも少しは人目をはばかりましょうね〜。
 大下、村田、磨鈴ちゃんは・・・
「ホラ小娘、あっしの一発芸をみるッス」
「ほへ?」
「なんだ?」
「さっき喰ったマムシの頭で・・・(ベロン♪)きしゃーー!ッス♪」
「はわっ?!」
「村田よ!な、ナニをする?!」
「エイリアンごっこッス♪ほれほれ〜ッス☆」
「みゃああああああ?!」
「やめい!」
 なぁにやってんだか・・・
 ん?夏美君と龍君は?
「・・・龍」
「ん?」
「次はいつヤルの?」
「やらん!」
 やれやれ・・・
 では皆さん、次の「天狗伝説」でお会いしましょう♪
 最後までお付き合い下さいまして、有り難うございました。


       あぶない天狗伝説4(おまけ)〜強者共の闇鍋大会〜・・・おしまい。


注:作品中に登場した鍋の具材につきましては、一部を除いて実際に作成、調理、試食
  をしました・・・が、いろんな意味でキケンですので真似しないでくださいネ♪