闘神都市2
闘神伝承 葉月
作:勝     
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第5回戦 ボーダー・ガロア


「ふう」風呂場の扉を締め、バスタオルで身を刳るんだ葉月が部屋の中を歩く
其処は、闘神都市の宿屋の一室、葉月が闘神大会中に定宿としてる所である
決勝戦を明日に控えた葉月は部屋の中に備えてある大鏡の前に立つと
身を包んでいたバスタオルを剥いだ白い裸身が鏡に映し出される
葉月は全身を映し出しながら体をこまめに動かす
「良し、もう大丈夫、どこも痛くない」葉月は確信した様に呟いた
準決勝終了後、葉月は迷宮にてレベルアップを行わず、ひたすら怪我の治療に励んでいた
勝ち上がる毎に闘いは厳しさを増していく中でそれは一種の賭でもあった
準決勝で臥路から言われた言葉「そのような体で勝ち上がれる程、この大会は易しくない」
その言葉が葉月の脳裏に深く刻まれていた
幾ら、無茶なレベルアップを計ってもそれを使いこなせる体で無ければ意味が無い
それが、決勝戦を前に控えた葉月の結論である、故に葉月は体を癒す事に専念した
焦りは有った、だが治療中に訪れたケイジンや臥路の言葉に耳を傾け焦りを払拭した
その結果、葉月の体は医者でさえ驚く程の回復ぶりを示した
骨折や骨のヒビは完治し、内臓のダメージは普通に食事が出来る程になり太股は多少、
痕は残る物の全力疾走が出来る迄になっていた
全快した葉月は決勝戦を迎える迄、1日は有った物の迷宮入りはせずに体の静養を計っていた
シードに逢う為に向かった闘神都市、そこでの日々は出場の無い日はレベルアップの為に
迷宮入りする日々に明け暮れていた、それ故に葉月は一日限りで有ったが
剣士としての鎧は纏わずに、初めて普通の女の子として一日をすごした
そうして、迎えた決勝戦前日の夜、葉月は体の調子を確認すると、バスローブに身を包んだ
「あと、一勝、そうすればシードに逢える」葉月はベッドに潜り込むと眠りに付いた
翌日
闘技場へと向かった葉月はいつもの様にシュリに逢い軽い挨拶を交わすと控え室へ案内される
部屋の中は相変わらず、薄暗く湿っぽい、何度訪れても良い気持ちのする所では無いが
「この部屋に訪れるのも今日で最後か」葉月はしんみりと呟いた
イスと机、そしてお粗末程度の家具しか置かれていない部屋を見渡す
ケイジン戦でこの部屋を訪れたとき、緊張とプレッシャーに押し潰されそうになり
猛・大人戦では自身の剣技が相手に通じるか不安に駆られ
レイヌや臥路戦では此まで痛めた体で満足に戦えるか
この部屋に訪れる度に不安と緊張で我が身を押し潰されそうになったが
今日は違う、不安も無い畏れも無い、全力を出し切るだけである
「おっと、着替えないと」葉月は急いで支度に掛かった机の上に戦闘着と鎧を出し終えると、
普段着と下着を脱ぎ裸になると戦闘着に着替える
「シードが見たら、はしたないと思われちゃうかな?、やっぱり恥ずかしいな」
葉月は頬を赤くする
今迄の葉月の戦闘着である紺色のレオタードは体をしっかりと覆っていたが
今回の葉月の戦闘着は下腹部を露わにしていた、胸と腰の部分に分かれたセパレートである
話は遡る
臥路戦で腹部を深々と貫かれた葉月は準決勝終了後、直ぐに緊急手術が行われた
傷口の縫合の為、戦闘着の下腹部にあたる部分を切り取られたのである
葉月の持ち物で有る為、返却を申し出たが、手術時に廃棄処分されてしまっていた
困り果てた葉月で有ったが仕方なく残った部分だけで仕立て直したのである
猛・大人戦では露わにされてしまった胸はしっかりと覆い隠されていたが
事前にも試着してみたが恥ずかしさがどうにもこみ上げるが今はそうも言ってられない
レイヌ戦で太股毎貫かれたミニスカートを腰に纏う、破けた後は綺麗に縫合されていたが
葉月は色々な動きで女を覆う戦闘着がどう見えるかを鏡の前で確かめた、
スカートの短さが時折チラリと覗かせる戦闘着を下着その物のように魅せる
鎧として腰充てを巻くが、お尻の部分はどうにも無防備となってしまう
「うーん、下着を着けた方が良いかな?」葉月は悩んだ
レベルアップを目指す日々は宿と迷宮の間を鎧姿で闘神都市を歩いていた
その姿は男に好奇の目線で見られていたがそれを気にしていられる葉月で無かったが
一日だけだが剣士で無く普通の女の子に戻ってしまった葉月には羞恥心が芽生えていた
「パシイイッツ」葉月は自ら両頬を叩いた
「しっかりしろ、葉月」自ら気合いを入れた、これから闘いに赴くのである
他人の目線、恥ずかしい等、気にする余裕などない、身支度を再び始める
膝迄覆うブーツを履くと。鎧を身に着け始める
鎧は傷だらけで此までの闘いの激しさを物語っていた
肩当てには無数の細かい傷跡が付き、臥路戦で罅が入った盾はそのままである
太股部分迄覆うマントを最後に羽織る、思った程お尻廻りのスカートの捲れは気にならない
剣を手にすると鞘から静かに抜き取った
迷宮での戦いと闘神大会で葉月の剣は刃こぼれを起こしていたが
入院中、臥路は葉月を訪れ自ら申し出て葉月の剣の研ぎ直しを申し出た
「ありがとう、臥路さん」葉月は素直に臥路の申し入れを受けた
刀身が部屋の照明を受けてキラリと光る、微塵の刃こぼれも無い見事な出来で有る
部屋の扉がノックされた、シュリが顔を出す「葉月さん、時間です」
「はい」葉月は応えると、剣を鞘に納め腰に充てると部屋を出て最後の闘いに赴いた
「葉月さんの彼氏のシードさんも闘神様ですよねー、これで勝ったらアベックで優勝ですね
闘神様同士のカップルなんて事になったらすごいなあー」シュリは歩きながら葉月に話掛ける
「うん、勿論、僕は優勝するつもりだよ」葉月は答えると闘技場前の門に立った
「頑張って下さいね」シュリは一声励ますと葉月と別れた
「うん、今迄有り難う頑張るよ」葉月はシュリに言葉を返した
「これより、闘神大会決勝戦を行います」闘技場ではレフエリーが観衆に向けて叫んでいた
闘技場を囲む観衆は割れんばかりの喚声を上げた
「龍の門より登場は、闘神の座を目指す執念の戦士、ボーダー・ガロア」
龍の門が開くとボーダーが闘技場へと姿を現す、場内は更に喚声に包まれる
「ボーダー、今年こそ闘神になれよ」「ボーダー、又、来年が有るぞー」様々な声が上がる
レフエリーが続いてアナウンスする
「鬼の門より登場は、可憐にして不屈の美少女剣士、瑞原葉月」
鬼の門が開き葉月が姿を見せると場内は割れんばかりの喚声が上がる
「嬢ちゃん、闘神になれよ」「頑張れよー、女だからと油断してるボーダーに一泡蒸かせてやれ」
自身に掛けられる声に葉月は一瞬戸惑った、無論、声の中には卑下た物も有ったが
初めて闘技場に姿を現した時の観衆の声は冷たかった、心から葉月を応援する者は居なかった
だが、闘いの度に苦戦は強いられても、決して諦めずに望む姿に、観衆は葉月を見る目を
変えていったのである、そして決勝戦ではボーダーよりもむしろ葉月を応援する声が多かった
二人は闘技場で相見える
「大した人気だねえー、俺様ってば悪役かよ」ボーダーは頭を掻いた
「本当だね、悪に立ち向かう正義のヒロインみたいな気がする」苦笑いしながら葉月は答えた
「それよりも何だその格好、俺様を誘惑するつもりか?悪いがその手には乗らないぜ」
ボーダーは葉月を指さしながらニヤリと笑いながら言うと、
「ふんだ、ボーダーさん何か誘惑するもんか、僕にはシードが居るもん」
葉月は一瞬、頬を染めたが直ぐに反論した
「そお言えば嬢ちゃん、彼氏に逢う為に闘神目指してたんだっけ」ボーダーがぽつりと言った
「うん、そおだよ」葉月もポツリとそれだけ答えた
「取引しないか?彼氏には逢わせてやるから闘神の座を俺にくれないか?」ボーダーは言った
「えっ?」葉月は思わぬ言葉に耳を疑った
「俺の提案、呑まないか?お互い悪い条件じゃ無い筈だ」ボーダーは続ける
「今迄の苦労の末に得た闘神の座が嬢ちゃんを相手にしてじゃ、格好が付かないんでね」
「断る」葉月は体を震わせ、握り拳を作りながら答えた
「ボーダーさんが何故、闘神に拘るのかは解らないけど、僕にはどうしてでも闘神になって
シードに逢って聞きたい事が一杯有るんだ、不純な動機で望むボーダーさん何かに闘神の座は
渡さない」葉月は怒りに震え答えた
「嬢ちゃんの今迄の努力に泥を塗ってしまったみたいだな、悪かった」ボーダーは言った
「えっ」葉月はその言葉に怒りを忘れ、ボーダーを見つめた
「女を相手に腕力を震うのは男として最低だと思っての言葉だ、しかし此処は戦場だ男も女も
関係ねえ嬢ちゃんだって立派な戦士だ、戦士同士、正々堂々と行く是、但し、後に引く気は
ねえから死んでも悪く思わねえでくれよ」
ボーダーはそれだけ言うとペコリと頭を下げ、葉月に詫びると背中の大太刀を抜き構えた
「僕だって御免なさい、ボーダーさんの真意を解らずに暴言を吐いて、お互い戦士同士、
正々堂々相手願います、但し僕だって後には引きません」
葉月もボーダーに対して頭を下げ詫びると腰の剣を抜き構えを取った
「オーケー、お互い、死んでも恨みっこ無しだ」ボーダーは軽く笑みを浮かべた
「はい」葉月もその言葉に軽く笑みを浮かべる
「では、決勝戦、開始」レフエリーの言葉でゴングが鳴らされた
「いざ」
「尋常に」
「勝負」
互いが相手に猛然と突っ込んで行った、こうして葉月の最後の闘いは始まった


闘神伝承 葉月  第5回 ボーダーガロア     前編


PS ガロア戦、未だ続けます、此処で終わらせるのも良いかなと思いましたが続き書きます
PS ヘソ出しルックの葉月、闘神都市2の原画&設定資料集をお持ちの方はお判りのとうり
   ラフデザインを元にしてます、これを見つけた時に何時か使ってやろうと思いました
PS 葉月の戦闘着たるレオタード、ゲーム上では紫でしたが個人の好みで紺にしました



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