闘神都市2
闘神伝承 葉月
作:勝     
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第一回戦 ケイジン・カ−タ−

活気に湧く闘神都市.その町中を一人の少女が歩いていく.黒い長髪.端正な顔達
町中を歩く若者達がその少女に目を奪われる.しかし少女はその視線を気にも止めず
歩みを進める,やがて少女は建物の前で歩みを止める,そこは戦士が集うコロシアム
凡そ似使わぬ場所の中へ歩みを進める,少女はやがて一人の女性の前に立ち声を
掛けた.
「瑞原葉月さんですね,こちらへどうぞ」葉月と呼ばれた少女は頷き女性に付いて
いった
「こちらでお待ち下さい」女性は葉月を一室に案内した,そこは闘神大会出場者控え

「有り難う,シュリさん」シュリと呼ばれた女性は一声葉月に掛けると部屋を出て
いった
葉月は扉を閉め部屋の中を見回した,イスが置かれてるだけの殺風景な部屋である
葉月の行動には訳が有った,彼女の恋人シ−ドは一年前闘神大会に出て見事,闘神の
称号を得た,しかしそれきり葉月の前から姿を消した,彼のパ−トナ−,セレ−ナと
共に
闘神となったシ−ドと会う為には闘神に成らなければ成らなかった
敗者には情けの無いル−ルと知りながらも葉月は闘神大会に乗り込んで来たのである
そして今日,葉月は一回戦を迎えた,相手はケイジン・カ−タ−,プロレスラ−であ

奇しくもシ−ドが初戦で戦った相手である
「さて,準備しなきゃ」自身にハッパを掛ける様に行動を起こした
全ての着衣を脱ぎ白い裸体を晒す,胸の谷間が露わな紫色のレオタ−ドを身に着ける

お尻を控えめに隠す黄色のミニスカ−トを腰に纏うと,鎧を身に着けていった
鎧と言っても男が着ける様な無骨な物でなく,女性の体を際立たせる優美な物である
装飾を施したヘッドギア,胸当てや腰当て,肩当てを装着し膝下まで覆うブ−ツを履
くと
マントを羽織る,おろしていた黒い長髪をマントの外に出し束ねると,左手に盾をは

剣を手に取ると腰の鞘当てに填め込んだ
「始まるよ,僕の戦い,見ていてねシ−ド」呟く葉月
程なく扉をノックする音がするとシュリが顔を覗かせる「時間です準備は良いですか
?」
「はい」一言答えると葉月は控え室を後にしていった
コロシアムに場内アナウンスが流れる「龍のコ−ナ−から登場は見目麗しき少女剣士
瑞原葉月」葉月は闘技場へと歩を進めた
場内の観客が一斉に声をあげる「さっさとケイジンにやられちまえ」「色っぽいぞ,
嬢ちゃん
裸にひんむかれてしまえ」
闘神大会は見る者にとっては賭の場でもあった,賭に参加した殆どの者は葉月の勝利
など考えていなかった
「シ−ドだけは応援してくれるよね?,御願い力を貸して」自身へと向けられる罵声
に葉月
は心の中で呟いた
アナウンスが流れる「鬼のコ−ナ−から登場は肉体という名の凶器ケイジン・カ−タ
−」
場内がどよめく「ケイジンやっちまえ」「裸にひんむいてガキに思い知らせてやれ」
ケイジンに賭けた観客は歓声をあげる
葉月へと近付いたケイジンは観客にも聞こえる様な大声で言った「好きな様に言わせ
てやれ」その言葉に明るい表情を浮かべ試合前の握手をしようと手を差し出したが
ケイジンは続けて言った「最も言われてる様にここはガキの遊び場じゃない,まして
女が
踏み込んで良い場所ではないぞ怪我をしないうちにパパやママの所へ帰れ」ケイジン

言葉に一時静まり返ったが発言が終わると場内は再びざわめいた
「棄権するなら今の内だ,死にたくなければな」それだけを言うとコ−ナ−へ戻って
いく
葉月は差し伸べた手を降ろすと握りしめ言い放った「女だ子供だという貴方なんかに
僕を倒すことは出来ない」
「面白い事を言う,これを見ても未だ強がりが言えるかな?」そう言うと傍らに有る
石像へと
向かうと羽交い締めにする,石像は怪力により石片となった,それを見た葉月の行為

観客を驚かせた,身に着けていた剣を投げ捨てたのである
「どうした・命乞いか?今更そんな事言っても・・」ケイジンの言葉を遮り葉月は
言った
「力馬鹿な相手に武器なんか必要ないよ,貴方なんかには素手で十分だよ」挑発する
葉月
「その言葉死を以て後悔させてやる」ケイジンは血管を浮き上がらせ怒りに身を震わ
せた
瑞原道場の一人娘として剣技だけでなく素手での格闘術も仕込まれていたが無茶な行

である,それでも挑まなければならなかった
試合の前日,葉月の宿泊先に一人の女の子が訪れた,彼女はアンドラ・くじらと名乗

ケイジン・カ−タ−のパ−トナ−と告げた
葉月はくじらを部屋に通すと備え付けのイスに隣り合って座った
「僕に何かご用?」葉月は思い詰めた表情のくじらに話しかけた
「御願いです,明日の試合棄権して下さい」くじらは唐突に願い出た
「棄権?どおいう事」葉月は問いかけた,くじらはポツリポツリと話し出した
「一年前,ケイジンはプロレスの強さを世界にアピ−ルしようと闘神大会に出たけど初
戦で負けてしまって,それからというもの同じプロレスラ−の人達はケイジンを恥さ
らしと罵って
周りの人達はプロレスの事を良くなく言って,それでもケイジンは頑張って来たんだ
けど
ある日プロレスを侮辱した人を殺めてしまったの,その事でプロレス界から追放され

ケイジンは変わってしまったの.闇試合に身を投じてからは相手を殺す殺人レスラ−

なってしまったの,そしてプロレスを侮辱奴らを皆殺しにしてやるって,こんなのプロ
レスじゃない,私の知ってるケイジンじゃ無い」そう言うとくじらは泣き出してし
まった
「事情は解ったわ,でも棄権は出来ない」葉月はきっぱりと答えた
「敗者へのペナルテイならケイジンに頼めば・・」涙混じりに話すくじらの言葉を葉
月は遮り
更に言った
「人それぞれ目的を持ってこの大会に臨んでいるわ,僕も闘神になる為には闘いを避
ける事は出来ない,それに僕が棄権してもケイジンさんは止まらない,だから僕は闘
うよ
くじらさんのケイジンさんを思う気持ちをぶつけてみるよ」くじらの手を握ると決意
を述べた
「葉月さん・・有り難う」くじらは目尻に溜めた涙を拭うと頭を垂れた
「あ・これ貰って下さい」くじらは鞄からお守りを取り出した「私が住んでる所の物
です」
「有り難う」お守りを受け取ると葉月は優しく微笑み返した
「それでは失礼します,ケイジンの事御願いします,それと彼が低く身構えたら気を
付けて」
くじらは葉月に別れをつげ部屋を出ていった
「では・一回戦初め」レフェリ−が試合開始を告げる
「では,いくぞ」ケイジンは身構えると突進してきた,巨体が葉月に迫る
葉月は身を屈めると足をケイジンに絡めた,ケイジンの体が音を立て地に伏した
葉月はケイジンから離れると身構えた
「女にしてはなかなかやるな」ケイジンは立ち上がると再び突進してきた拳が迫る
葉月は体を捻り拳を捌くとケイジンの勢いを使って投げ飛ばした,巨体が轟音をたて
地に倒れた,葉月の肩が震える
鯨の願いに応える為とはいえ,格闘戦に持ち込むのは分の悪い賭であった,女の子で
ある自分の体と相対する大人の男の体,しかも相手は極限まで鍛え上げた筋肉の持ち

体1つでぶつかるのは無謀と言えた,それ故,葉月は相手との距離を取り相手の力を
利用する戦法を取った,しかしこれは失敗の許されない方法である,研ぎ澄ました集
中力
とそれを持続させる精神力が必要とした,それにより葉月の体力は著しく消耗して
いった
「ケイジン情けないぞ」「ガキ相手に何やってんだ」観客がヤジをケイジンに投げ掛
ける
「おのれ」ケイジンは怒りに震えると石像の石片を掴み葉月に投げ飛ばした
「うっ」ケイジンの思わぬ行動に葉月は避けきれず石片を腹部に受けてしまい体制を
崩した,そこにケイジンが駆け寄り拳を葉月の顔面に打ち込んだ,倒れ込む葉月
すかさず,ケイジンは葉月に対しマウントポジションの体勢を取る
葉月はケイジンの体を振り解こうと足掻くが完璧に体を押さえ込まれてしまう
ケイジンは葉月の顔を殴り始めた
「ああっ・ううっ」石の様な拳に殴られる度呻き声をあげる葉月
頬を赤く染め唇から血を垂らしぐったりと横たわる葉月から体を起こすとケイジンは
葉月の
髪を掴むと闘技場を引きずり回す,「うう」意識朦朧な葉月は低く声だけを漏らす
ケイジンは石像の前迄来ると葉月の両足を抱え込み石像に葉月の体を叩き付けた
「がはあ−っ」脇腹を強かに叩き付けられた葉月は血を吐き出した,ケイジンは躊躇
無く
葉月の体を石像に叩き付けた
脇腹・背中・腹部・胸・腰,執拗に葉月の体を痛め付けるケイジン,その度,葉月は
血反吐を吐いた,石像に叩き付けられながらも葉月は両腕で石像を抱き留めた,ケイ
ジンは腕力で引き剥がそうとする
「くうう」足を引き抜かれてしまう様な激痛を葉月は懸命に堪える,しかし抵抗虚し
く引き剥がされてしまう,ケイジンはそのまま葉月の体を投げ飛ばした,硬い岩盤で
出来た闘技場の床をバウンドしながら転げ回る葉月
「う・ううん」近付いてくるケイジンに対処すべく起き上がろうとする葉月,だが体
が思うままに動かない
ケイジンは葉月に近付くと左肩を抱え込み関節を逆方向に曲げ始めた
「うわあ−っ」肩を外されまいと懸命に足掻く葉月,だが「ゴキ」鈍い音がしたかと
おもうと
左腕がダラリと垂れ下がる
「あああ−っ」肩を押さえ悲鳴をあげる,ケイジンは追い打ちを掛ける様に肩を踏み
つけた
「いやあ−っつ・ああ−っつ」涙が溢れ体が戦慄いた
ケイジンは葉月の体を抱え腰に両手を廻すと締め上げ始めた,石像も砕く怪力が葉月
の細い腰に掛かる
「あああ−っつ」体をえび剃りにして絶叫をあげる葉月,尚も怪力が腰を締め上げる
葉月は右手でケイジンの首筋に手刀を浴びせるが効果が無い
葉月は続いてヘッドパットを浴びせた,何度も繰り返す内に葉月の額から血が滲み出
して
来る,下手をすれば自身の頭を先に割ってしまう危険を犯してでも攻撃を続けた
必死の攻撃にケイジンもダメ−ジを受けているのか表情が険しくなる
「これで終わりだ」あらん限りの力が腰に集中した「ミシ」歪な音が響く
「・・・」目を一瞬見開くと葉月はケイジンにもたれ掛かった,ケイジンは力を緩め
ると葉月の
体はズルズルと滑り落ちていく
「これがプロレスの力だ」ケイジンは勝ち誇る様に叫んだ,だが先程迄ケイジンを応

していた声は鳴りを潜め静まり返っていた
呆気に取られるケイジンは観客にアピ−ルするが反応は返ってこない,苛立つケイジ

場内がざわつく,その声が自分に向けられた物でないことに気付いたケイジンが後ろ
を振り返った,そこには足下がふらつきながらも立ち上がった葉月の姿があった
「馬鹿な死んだはずだ」驚くケイジン
葉月は腰にしまっていたお守りを取り出した,袋の中にある小判状の物が割れている
「僕はまだ死なないよ,ううんまだ死ねない,会わなきゃならない人がいるんだ,そ
れに
プロレスで人を殺めるなんて事しちゃいけない,くじらさんはそう願ってるよ,ケイ
ジンさん
だってこんな試合望んでない筈だよ」説得する葉月
「くじらに何を吹き込まれたかは知らないが,君には関係ないことだ」ケイジンは葉
月の
言葉にたじろくが闘う事を止めようとしない
ケイジンは低く身構えた「これを喰らうが良い,君の死を以て決着を付けてやる」
悲しみの表情を浮かべる葉月,続く行動が観客に動揺を誘った,
鎧を外し始めてしまったのである,そしてそのまま仁王立ちになった
「覚悟が出来たか,行くぞ」ケイジンが葉月目掛け突進する
手刀が葉月の心臓を貫こうとした時,葉月は身を屈め直撃をかわすが,肩を切り裂か

血飛沫が葉月の顔に赤い斑点を付ける,葉月は体を反転するとケイジンの体を背負っ

「くっ」巨体の重みに肩が軋み腰に激痛が走る,それでも渾身の力を込め地に叩き付
けた
肩を押さえながら立ち上がる葉月,だがその背後からケイジンが立ち上がって来た
その気迫に身動き出来ない葉月
だがケイジンは歩き出すと葉月の剣を持って葉月の前に立ち話しかけた
「私を斬れ,是まで私が殺めてきた者への償いと,この試合の決着を付ける為にな
私が間違っていたとくじらに伝えてくれ」そう言うとケイジンはその場に座り目を閉
じた
観客達が葉月の行動に注目する
「仰向けになって」少し考えると葉月はケイジンに言った,ケイジンは黙って従う
葉月はケイジンの体に覆い被さる,プロレスでいうフオ−ルの体勢を取った
「1・2・3」観客達は葉月の行動の意味を悟とカウントを取った
「勝者 瑞原葉月」レフェリ−が勝ち名乗りをあげる
「何故だ何故殺さない」ケイジンは体を起こし葉月に詰め寄った
「間違ってる事に気付いたならケイジンさんの口からくじらさんに謝ってあげて,そ
れに
死ぬ事だけが償いじゃない」葉月は言った
「有り難う,一からやり直す事にするよ,それとこれからの健闘を祈る」ケイジンは
右手を差し出した
「くじらさんもそう願ってるよ」葉月はケイジンと握手を交わした
葉月とケイジンが闘技場を去るまで観客達は二人に惜しみない拍手を送り続けた

続く


あとがき

「葉月無惨第3夜」を棚にあげ,始めた新シリ−ズですが如何でしょうか?これを書
くぞと
駆り立てたのが「さくら氏」の闘神葉月なんですがこれ読んだら是非続き書いて下さ

所でこの話なんと最終話から先にあがってしまってる始末,ですが順番というものが
あるので,この話を立ち上げました,ケイジンが悪役レスラ−なのは設定資料集の中
で書かれてたのでそれを参考にしました,このシリ−ズでも葉月は「無惨」に劣ら
ず,涙を流し,悲鳴をあげ血を流してますけども,葉月への愛情の裏返しと取って下
さい
続く2回戦ですが,相手も決まっており,話も書き終えていますので,後は投稿のタ
イミング
です(無惨第3夜を先にあげないと)あくまでこの世界を壊さない範囲でかいて行こ
うと思ってますので.どうぞ読んでやって下さい

感想はこちらまで
masatu1311@hotmai.coml


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