キャロットと軍曹 第一話 出会い
「ポロンくん」
「なに?」
「レベルアップしたいから、トトチャウネ呼んで」
「ごめん、今忙しいから、後でね」
「あ、うん。わかった」
ポロン、去る。
キャロット、無言で宿屋の部屋に戻る。
そして、ぱにょんのぬいぐるみをとる。
それを、殴る。殴る。ぬいぐるみを殴る。
約十分ほど殴ってから。
「ポロンくんったら、もう。なら、あたしがトトチャウネ呼んじゃうもんね」
キャロット、レベル神召喚の呪文を唱える。
「いでよ! トトチャウネ!」
しかし、現れたのはトトチャウネではなかった。
現れたのは、軍服を着たベベターのようなモンスター。
モンスターとキャロット、目が合う。
「あの、あなたは?」
「俺か? 俺は、ジョニー・ザ・ライデン。軍曹と呼んでくれ」
「その軍曹が、何でこんなところに」
「ああ、実は俺。レベルアップ神やってるんだ」
「へえ」
「で、最近、専属に担当する冒険者が現れたんで、こうして呼ばれてきたんだが」
「はあ」
「その担当の冒険者って言うのが、すこぶる極悪人らしいんだわ」
「そうなんですか」
「おまえ、知らないか? 魔物を使ってゼス王宮を半壊させた超A級の極悪犯罪者なんだが。名前は、キャロット」
「それ、あたしです」
「なに、お前か!」
ファイルを見る、軍曹。
「確かに、写真と同じ顔だ。まさか、こんな小娘が……」
「はあ」
「まあ、よろしくな」
「よろしくお願いします。軍曹」
「それじゃあ、俺はいったん消えるから。用があったら呼んでくれ」
軍曹、手を振る。
見送るキャロット、そこで気が付く。
「レベルアップ、してもらってない……」