落日の時・囚


「んうっ!」
「うっ…」
男の唸るような声と少女の呻き声が部屋に響く。
「ふうっ…」
一息つくと男は少女から離れた。
「よかったよ、マドカちゃん」
男はそういうとマドカの頭をぽんぽんと叩き服を着ると部屋を出て行った。
「………」
部屋にひとり残されたマドカは動かず虚空を眺めている。
いや、正確に言えば動けない…Dr.アルクなる科学者に回路を断たれたからだ。
敵に捕まり、機能を停止され、いろいろ調べられた後マドカはこの部屋に放置された。
数分と経たないうちに数人の地球人の男達が部屋に入ってきたとき、マドカは悟った。
『捕虜の性処理に使われる』と…
数人の男達は目の色を変え動けぬ少女に襲い掛かった。
あれから幾日が過ぎたであろうか…マドカに異変が起きていた。
不意に自分を造った科学者の名前と顔が思い出せなくなっていた。
次にその娘、向かいの家の少年、町並み、そして…自分。
それは思い出せないというよりはぽっかりと抜け落ちるといったほうが正しかった。
今のマドカの記憶にあるのは部屋の天井と自分を犯しに来る男達の顔、声、荒い息遣い…
体に残る感触…どれもこれも嫌な記憶…けれど頭にこびりついて離れない……
「げっ!誰かやったあとじゃん」
「そう言うなって、いつもこんなもんだろ」
「そうそう、今日は割りときれいな方だって」
三人の男が部屋に入ってきた。
「けどよー、こいつ前より反応しねえしさー」
「それはあるかも」
「だろ?今日はちゃんと反応してくれよっと!」
一人の男がマドカの頭を蹴る。
「う……」
「おっ!反応した」
「おいおい、あんまり無理するなよ」
「大丈夫だって、これくらいじゃ壊れやしねえよ」
「まあ…」
「さあて、今日も人間様のお役に立ってもらいますよ」
「お前どこいく?」
「俺は…」
また一つ…マドカの記憶に穴とそれを埋める嫌なものが………

byうきくじら