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「えっ?」 間の抜けた声が恭平の口から漏れる。 「聞いてなかったのか?エスカレイヤーが死んだんだよ」 (エスカレイヤー……沙由香が死んだ?) 「なっなに言ってるんだ?第一どうやったらエスカレイヤーが死ぬんだ?」 「アルク、説明してやれ」 「うむ…エスカレイヤーの背中に数箇所の刺し傷があった。どうやらその一つがダイナモを直撃したようじゃの。エスカレイヤーといえど力の源を断たれては…」 「そんな……いやっ待て!どうやったら人間なんかがエスカ…沙由香を殺せるんだ!」 沙由香の死を受け入れようとはしない…そんな恭平を見てガレイズは口の端を歪めると嘲笑交じりに話し出す。 「さーな、火事場の馬鹿力でも出したんじゃないのか?ほれ、お前らの言葉であるだろ?窮鼠猫を噛…」 「ふざけるな!」 ガレイズの言葉を恭平が怒鳴り声で遮る。 「エスカレイヤーが!沙由香が!しっ死ぬわけがあるか!嘘だ!嘘だ嘘だ嘘だあぁぁ!」 恭平の怒鳴り声には鳴き声が交じっていた。 「ちっ、仕方ねえな…あれを持って来い」 ガレイズがフーマンに命令し、あれ…沙由香の死体を持ってくる。 沙由香の死体はすでに死後硬直しており、両手を前に伸ばし、口から出たであろう血は乾ききり、目も見開かれたまま……そして微笑んでいる口元…すべてが死んだときのままだった。 どさっ フーマンたちは死体を無造作に投げると部屋を出て行く。 「お待ちかねの姫君のご到着だ」 「……あぁ…」 恭平の目の前にある受け入れ難い…いや、受け入れられない現実が広がる。 傍から見ればそれは精巧に出来た蝋人形にも見える。恭平は沙由香に触れた瞬間それが蝋人形でないこと実感した。 「う…うわあああああああああああ!」 恭平は大きな声で泣き出した。鼓膜が破れるのではないかと思うほどの声で…… 「……行くぞ、アルク」 「うむ」 大声で泣く恭平を置き去りにしてガレイズとアルクは部屋を出て行った。 「うくっう……?」 数分間泣き続け恭平はガレイズとアルクがいないことに気づいた。と、同時にある異変に気づいた。 「何だ?この変な臭いは…」 何か腐ったようななんともいえない臭いが部屋に漂い始めた。 「なんだ?どうなっ…ぐはっ!」 不意に恭平が口を押さえ倒れこむ。 (何だ!?胸が!胸が熱い!) 『くくく…どうじゃ?』 (アルク!) スピーカーからアルクの声が発せられる。 『その部屋には新型の毒ガスが充満しつつある』 「毒ガスだと!げほっげほっぶほっ!」 『少しでも長くいきたければ余り喋らぬことじゃ。吸い込めば吸い込むほど胸が焼けるぞ?』 (熱い!熱い!熱い!) 恭平は狂ったように胸を掻き毟る。胸の痛みのあまり恭平の瞳は正気を脱していた。 『まあ、せいぜい死ぬのを楽しんでくれ』 それを最後にスピーカーからアルクの声が出ることはなかった。 「ぎゃあああ!ぐぎゃう!」 胸に鮮血が走る。毒ガスなのか自分で掻き毟った痛みなのか…それすらも分からないまま、恭平の叫び声は死ぬまで続いた…… 「ふむ…フーマン」 「ブッ?」 「少年の精巣を持ってくるんじゃ」 「ブブッ!」 「安心しろ、毒ガスはすでにない」 「そんなものどうするんだ?」 「実験に使うのじゃよ、お前にしろエスカレイヤーにしろ地球人よく殺すからの」 「地球人なんぞまだ腐るほどいるだろ」 「日本人が不足しとっての、それに…」 「それに?」 「二人の子供を作る約束をしたじゃろ?」 「……はははっ!そうだったな」 「くくく…」 「はぁーはっはっはっ!」 二人の笑い声が部屋に響き渡った…… byうきくじら |