ミストレーヌの憂鬱


「じゃあ俺帰ります。遼子さん、ごちそうさま。」

恭平はそう言って手を振り帰っていった。
遼子はそれを玄関で手を振り笑顔で見送った。
おしゃべりをしながら食事をする楽しいひと時。
それはいつもの事。
だが遼子は見送った後表情を曇らせ、部屋に戻って脱力したようにソファーに座る。
大きなため息をついたかと思うと身体をずらしてソファーに身体を沈めた。

「今日も帰っちゃった・・・・恭平くん」

遼子は不満そうに呟く。
瞳に寂しい光が見える。

「やっぱり私みたいな年増より沙由香ちゃんの方がいいのかしら・・・・・・」

口を尖らせ子供のように愚痴る。
若いつもりでも実際には恭平との年の差は埋めがたいものがある。
しかも自分はバツイチだという引け目が積極的な行動を押しとどめていた。
その上、年上のせいかどうしても恭平の前ではお姉さんぶってしまうのだ。
遼子は恭平といるときいつも迷っていた。
好きだという気持ちを打ち明けたい自分と年甲斐も無いと恥らう自分の間で。

「いっそのこと恭平君から押し倒してくれれば話は早いのに・・・・」

葛藤の苛立ちのあまりとんでもない愚痴も出てしまう。
だがそれを望んでいる事も確かだった。

「そうすればこんな寂しい思いしなくて済むのに・・・・恭平くんのバカ・・・・」

いつの間にか滲んでいた涙を手で拭くと遼子はそのまま手を自分の胸に当てた。
そのままゆっくりと手を動かし、胸をもみ始める。
服の上からでも十分に分る豊満な乳房が指をめり込ませ柔らかさを
主張するように形を変える。

「ん・・ん、んあ・・・・あ・・」

胸からもたらされる刺激に遼子の頬に僅かに赤味がさす。
胸をもむ自分の手に硬い物が感じられ始めた頃、空いていた右手も
スカートの脇のファスナーを下ろし、股間へと這っていく。
下着越しに触れた秘所はすでに僅かな湿気を帯びていた。
はしたない身体だと言う思いが遼子の理性をなじる。
それでも指を止めることは出きない。
今自分を愛撫している手は遼子のでは無く、愛しい恭平の手だから・・・・。

「んあ・・・あ・・うん、あああ・・あん」

蒸れる秘所を擦り上げると瞬く間にシミは広がっていき、
シミの上部に小さな膨らみが出来た。
遼子はその膨らみを指に腹で軽く押し刺激を与えていく。

「あっあん・・・はァ、んっあ・・あああ、ああんああっ」

服の上から揉んでいた胸も今は潜り込んだ手によって直にこね回されている。
硬くしこった乳首をぎゅっと摘み上げると身体がビクビクと震えてしまう。

「あひっ、あっあうん・・・はァはァ・・・ああああん」

さらに刺激を求めて右手が下着の中に滑り込む。
熱くなった花弁に触れると指はすぐにべとべとになった。
遼子は絡みつく愛液を興奮し充血した肉芽に擦りつけ、指先で弄ぶ。

「くうっ!ひあ!ああああん・・・はふァ、あっ・・・・ああん」

眉を寄せ、悩ましげな表情で快楽に身を震わせる遼子。
しかし肉芽から送られる快感に脳を焼かれながらもどこか切ないもの感じていた。
恭平の熱くたぎる物で自分の中を満たされ、愛されたいという欲求。
その思いを代行すべく指が下へと移動する。

つぷっ!

潤んだ秘裂に中指が何の抵抗も無く埋没した。
そして第二関節まで入り込んだ指が容赦無く敏感な粘膜をかき回す。

「あああっ、んあ・・・うふん・・あっあっ・・・あああっ!」

止め処なく愛液を吐き出す淫裂は貪欲に指を飲み込み、より感じる部分へと導いていく。
根元までくわえ込まれた中指が遼子のGスポットを探り当てる。

「あん・・・あああん、すて・・き・恭平・・くん・・はひん!ああああっ!」

愛しい男への想いと共に指の動きはエスカレートしていった。
遼子の嬌声に混じってクチュクチュといやらしい音が部屋を満たす。
零れ落ちた露は下着ばかりかスカートまでも濡らしていった。

「あっあああっだめっ恭平くん!私・・もう!イ・・クう、イっちゃ・・・ああああああっ!」

弓なりになった背がビクビクと振るえ遼子は絶頂に達した。
絶頂の余韻に浸りながら脱力し、夢見心地の中、視線を宙に泳がせる。
すると部屋の隅に赤い光の点があるのに気が付いた。
涙で曇った目を凝らしてみるとカメラを構えた緑の髪の少女が正座している。
赤い点はビデオカメラの作動ランプだった。
反射的に飛び起きソファーに座りなおす遼子。

「あっあなた、マドカちゃん?」

手早く服を整えるが脱ぎかけのスカートが不自然に残った。
マドカは無言でカメラを構えたまま座っている。
突然の事で焦ったが、今の無視で少し自分を取り戻せたのか怒りが込み上げてきた。

「あなた!そこで何やってるの?無断で他人の家に入るのはいけない事だって教わらなかった?」

恥ずかしい行為を見られた逆切れも入っているがマドカはそれを涼しげに聞いていた。

「地球征服を企む人にそんな事を言われたくはありません。
 霧谷遼子、又の名をミストレーヌさん?」

淡々とした反撃に遼子の顔色が一変する。

「な、何を言っているの?マドカちゃん!」

うろたえた遼子をカメラで撮りつつ、冷ややかな片目が遼子の嘘を見破る。
実際には半信半疑だったが今の反応でそれは確信に変わった。

「貴方の声、身長、髪の色、スリーサイズから推定体重にいたるまで全てダイラストの
 将軍ミストレーヌと一致します。そして決定的なのは右胸の心臓。
 何か反論がありますか?遼子さん?」

遼子は唇を噛締めた。

「くっ!」

そこまで調べられていては反論のしようがない。
そんな事よりも遼子はすでにその秘密を知るマドカをどうするかを考え始めていた。
だがその考えを見透かしたようにマドカが警告する。

「下手な考えは起こさない方がいいですよ。このビデオカメラは家のコンピューターと
直結しています。もしも、私に何かあれば今記録した貴方の恥ずかしい映像が
インターネットで流れたり、電波ジャックしたテレビ電波に乗って全国に
流れるかもしれませんよ。」

「な、な、な、なんですって?」

焦りまくって思わず立ち上がりかけるのをマドカの手が制止する。

「あくまでも、もしもの話です。私も悪人ではありませんから営利目的で売ったりはしませんのでご心配無く。」

「あたりまえよ!」

顔を真っ赤にして遼子が叫ぶ。
マドカはそれでも眉一つ動かさず話を続けた。

「では本題に入りましょう。ズバリ!地球側につく気は有りませんか?」

いきなりの提案に遼子の気配が険しいものになる。
怒りはどこへやら、真剣な眼差しでマドカを見据える。
姿は同じだが彼女は霧谷遼子ではなくミストレーヌへと変わっていた。

「私にダイラストを裏切れと?」

「いいえ。裏切るなどと人聞きの悪いことは言いません。」

静かだがきっぱりと否定する。
マドカは言葉を区切り、カメラを下ろした。
カッと瞳が見開かれる。

「裏切りでは無く、表返るのです!」

有無を言わさぬ迫力があった。
ついなるほどと納得してしまいそうだ。
だがすぐに頭を振って根拠の無い説得を振り払う。

「今まで地球と戦ってきた私にそんな事ができる筈が無いだろう!」

ミストレーヌの強い口調にマドカは仕方なく切り札を出す事にした。

「地球側に付けば恭平さんを自由に出来ますよ」

「な、なんですって?」

恭平の名が出たとたん精悍なミストレーヌから寂しい未亡人遼子へと変わる。
それを確認してマドカは言葉を絡めていく。

「私は恭平さんの弱みも握っています。ですから私に提案を受け入れ、
 地球側に表返ればもう寂しい思いをしなくてすみますよ」

「もう寂しい思いをしなくてすむ?」

魅惑の言葉にぐらりと遼子の心が揺らぐ。

「私と来れば恭平さんと一緒、何をおそれる事があります。」

「恭平くんと一緒?」

遼子の頬が朱に染まり、はるか先の映像が頭の中で展開された。
くねくねと身体が身悶える。
その様子にマドカは仕上げに取り掛かった。

「そうです。恭平さんと一緒に愛を!
 愛を!愛を!愛を!愛を!愛を!愛を!
愛を!愛を!愛を育もうでは有りませんか!

その言葉に遼子はビクビクと身体を振るわせる。
軽くイってしまったようだ。

「私はどうすればいいの?」

洗脳されたように虚ろな目の遼子が呟く。

「それは私にまかせてください」

罠に掛かった銀狐を前にマドカはあやしい微笑をもらした。

昼下がりの午後の町で二人は戦っていた。
一人は我らがヒロイン、エスカレイヤー。
もう一人はダイラストの怪人テイマーフラストだ。

「えい!」

パルシオンの硬刃が鞭となって怪人を襲う。
テイマーフラストも鞭を振って合わせ、攻撃を相殺する。
見る限り二人の実力は互角。
だが怪人には何処か余裕があった。

「そろそろお遊びはおしまいだ。ブタはブタらしく調教されるがいい!」

怪人があやしいパルスを発した。

「!!」

突然にエスカレイヤーの動きが止まる。

「どうだ!動けまい!今からお前をじっくり調教して二度と
ダイラストに逆らえない身体にしてやる!」

いやらしい笑いを張り付かせて怪人が近づいてくる。
必死に動こうと頑張るが指一本動かせず辛うじて動く唇を噛むしかなかった。
怪人の手がエスカレイヤーの巨乳に手を伸ばす。
その時、空を裂く音と共に白刃がテイマーフラストの手を切り裂いた。

ザン!

地面に白銀のサーベル突き刺さる。

「そこまでだ!」

傷ついた手を押さえつつ声のする方を見上げると電信柱の上に人影があった。

「人をブタ扱いするとは言語道断!しかも白昼堂々婦女子に猥褻な行為を
働こうとするとは恥を知れ!」

凛として言い放つ。
その者は女だった。ファンタジーの女戦士のようにやけに露出度の高いコスチュームを身にまとい。白いマントをはためかせていた。
そして頭には両目を被う白銀のマスク付きの西洋甲冑のヘルメットをつけている。
両耳から生える白銀の翼が美しい。

「誰だ貴様は!」

苛立たしげに怪人が叫ぶ。
その問いに銀仮面の女は腕組みをしたまま静かに答えた。

「私はシルバークイーン。地球の平和を守る正義の戦士だ!」

プレッシャーがテイマーフラストの顔を歪ませる。
だが怪人は頭によぎった疑問を搾り出すように呟いた。

「シルバー・・・・年増だからシルバーなのか?」

ドゴオオオオッ!

怪人の頬に鉄拳がめり込んだ。

「誰が年増だ!無礼者がぁ!」

見事な右ストレートだった。

「かはぁ!」

血を吹きながらそのまま吹き飛ばされる。
一瞬で電信柱から降りてきたシルバークイーンは地面に
突き刺さったサーベルを引き抜いた。
その背中に怒りのオーラが見える。

「少しは遊んでやるつもりだったが止めだ!」

そう言ってサーベルを正眼に構えた。

「口の悪さを呪いながら死ぬがいい!コズミック破剣流奥義!」

真・空・活・殺・剣!! ドザシュ!

一振りに見えた、だが実際にはマッハを越えるスピードで何十回も剣は振られていた。
その剣の作り出した無数の真空刃がテイマーフラストを切り刻む。
一瞬の内に強敵のはずの怪人が肉片に変った。
強い!強すぎる!もしこの人が敵だったらと考えると沙由香は背筋を寒い物が駆けて行くのを感じた。
でもあの剣技何処かで見たことがあるような・・・・
思い出そうと必死になっているとシルバークイーンが沙由香の方を向いた。

「あの程度の怪人に苦戦してどうする?男にかまけている暇があったら剣の腕でも
磨くのだな。ではさらばだ!」

そう言って微笑むとシルバークイーンは風のように去っていった。
金縛りがまだ解けず、ポツンと残された沙由香は去り行く人影に大声を張り上げた。

「大きなお世話ですううううううっ!」


沙由香を残して恭平が事件現場から戻ると家の前でマドカが待っていた。
そして手招きするので近寄ると沙由香さんはまだかと聞いてくる。

「ああ、でもすぐに帰って来ると思う」
「そうですか。それは好都合」

その答えを待っていたかのようにニヤリと笑う。

「何がだ?」
「いえ・・・こっちの話です。気にしないでください」

いつもの無表情に顔を戻しはぐらかす。
そして何かのハンドグリップような物を取り出し恭平に見せた。
上部に赤いボタンがある何かのリモコンなのだろうか?

「ちょっと面白い物を手に入れまして使ってみませんか?」

そう言ってさっきのリモコンを手渡す。

「何?これ?」

リモコンを握ってみるとマドカはニコニコしながらスイッチの上に
掛かった親指を押さえた。

ぽち!

ドッカアアアアアアアアアアン!

恭平の背後でいきなり爆発が起こった。
爆風が恭平の背面から吹いてくる。
恐る恐る振り返ると遼子邸が見事に爆発していた。
瓦礫となって炎上する元遼子邸を見つめる恭平の顔を汗がだらだらと流れていく。

「おやまあ、見事に燃えてますね。」

のんきなマドカの声に恭平の思考がもどる。

「お前がやったんだろうが!」

憤怒のごとき恭平の怒声もマドカには涼風だ。

「私ではありません。スイッチを握っていたのは恭平さんでしょう?
 指紋鑑定すれば貴方はテロリストの仲間入りです。」

「また俺を脅そうと言うんだな?こんな手の込んだ事をして!
一体何を企んでいる?」

いつもの強引さに観念し泣きそうな恭平にマドカは満足そうに口を開いた。

「実は・・・・」

マドカは遼子がミストレーヌである事を恭平に話し、ダイラストの目をごまかす為
テロで遼子さんを死んだ事にして恭平の家でかくまって欲しいと言った。

「かくまうなら沙由香の家でもいいだろう?何で俺の家なんだよ!」
「これは沙由香さんには内緒ですし、遼子さんの希望だからです。」

呆れる恭平に驚きの言葉が出る。

「遼子さんの?」
「そうです。ではすでに遼子さんは恭平さんの家にいますので後はよろしく。」

間抜けな恭平の問いに答えると用は済んだとばかりにマドカはそそくさと去っていった。
恭平は何か納得できないものを噛み潰しながら家に入った。

「遼子さ〜ん!居るの?」

戸惑いながら声を発し、キッチンに入ると恭平の目に衝撃的な光景が映った。

なんと!遼子は裸エプロンだったのだ!

「あ、お帰りなさい。恭平くん」

さっとお尻を手で隠しながら振り向く遼子。
反対の手にはおたまを持ったままだ。
なにか調理中らしいがそんな事に興味は無かった。
恭平はあまりの事に驚きながらもじっくりと舐めるようにうす布一枚に遮られた
遼子の肢体を観察する。
エプロンなんかでは隠しきれない胸の膨らみが横にはみ出しながら
その存在をアピールしていた。
そして細いウエストから滑らかな曲線を描き大きめのお尻を通って
すらりとした素足へと続いていく。
素晴らしいプロポーションだ。
その上潤んだ瞳と桜色に染まった頬、わずかに分る胸の先端のぽっちが
大人の色気を演出する。

熟女の魅力全開だ!

「りょ、遼子さん!その格好は一体?」

だらしなく鼻の下を伸ばしながら恭平は期待を込めて質問した。

「あっこれは・・・その・・・マドカちゃんが恭平くんが好きだって言うから・・」

遼子は、おたまを持ったまま顔を赤らめモジモジと恥ずかしそうに恭平を見る。

ぶちっ!

恭平の理性は簡単に崩壊した。

「遼子さぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

恭平はどこぞの泥棒の3代目のように服を残してぴょんっと宙に舞った。

「あーーれーーーっ!」

そして柳瀬家に遼子の嬉しそうな悲鳴が響き渡った。





あとがき

ただ欲求不満の未亡人を書きたかっただけです。言い訳はしません。
感想、意見、お叱りをお寄せください。

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