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□□□□ 第一話 第二話 第三話 第四話 第五話 □□□□ |
超昂天使エスカレイヤー NEO 作 二次元人間 第四話 「強くなることは失うこと そして 私は全てを失った」 そこは、今時珍しい古い洋館。そこに一人の少女がいた。 そこに、突然一人の男が当然現れた。 「ただいま。マドカ」 「おかえりなさい。恭平さん」 緑色の髪をし、メイド服に身を包んだ少女の声は、その表情と 違ってどこか温かい。 「沙由香の所に行ってきた。また、しばらく会う事はないからな。 それに新人の所にもちょっと発破をかけに行ったよ」 「どうでしたか?」 恭平は、近くにあったソファーに腰を降ろし、マドカはその隣に 座った。恭平は片手を見つめる 「殴られたよ。当然だけど、正直辛かった・・・。 まあ、自分で選んだ道だ。文句は言えないさ。 それが沙由香の為だ・・・」 恭平は、マドカに笑って見せた。昔のままの笑顔、マドカにだけ 見せる恭平のもう一つの『仮面』。その笑顔を見たときマドカは たまらなく悲しくなる。 「どうして、あのDDDを彼らに?」 マドカは、どうしても話題を逸らしたかった。あの笑顔は、 その本当の意味を知る自分に対してはあまりに辛すぎた。 そして、恭平はうつむいていた顔を上げる。 「きっと、沙由香と同じ理由さ・・・・」 「随分、派手にやったのね」 玲奈を負ぶってきた貴之の片目は腫れていて、口の中が切れていた。 「それにしても驚いたわ、玲奈に勝つなんて」 貴之は、近くにあった大きめの椅子に玲奈を降ろす。 「女に喧嘩で負ける訳にはいかないからな」 貴之はぶっきらぼうに答える。何故か、沙由香の顔を見ようとは しない。 「男のプライドってものかしら?」 「だだの意地だ」 貴之は、沙由香に背を向けて座る。 「俺は、一之瀬のことが正直まだ信用できない。 それに、俺はあんたの事も半信半疑なんだ。 あんたが、悪い奴じゃないのは良くわかる。 色々世話にもなった」 そして、いったん言葉を止め、沙由香の方に振り返る。 「でも、俺はあんたが怖い・・・・怖いんだ・・・・」 それは、自分でも訳のわからない感情。ほとんど本能とも呼べる 部分が目の前の存在に対して、最大級の警戒を発している。 「貴之君。君、強いのね」 「へぇ?」 あまりに唐突な沙由香の発言に貴之は間抜けな声を上げた。 「見る人が見ればわかるっていってたわ。私からは血の臭いがするって・・・」 貴之は言葉に詰まる。自分はそう言う意味で言ったのではなかった。だから、沙由香の言葉の意味がよくわからない。 どう考えてみても、この人が人殺しをするようには思えない。 でも、たしかに沙由香からは「戦う」人間の雰囲気がする・・・・・ さして出来のいいわけではない貴之の頭は、思考の暴走で 破裂しそうだった。 「・・・ただの冗談よ」 あからさまな嘘だった。でも、その一言でなんとか貴之は自分の 留め止めない思考に終止符を打つのに成功した。 しばらく店内を沈黙が包む。しかしそれは、たった一言で消滅 した。 「之ちゃん、大変モンスターが!!」 「変身!ビートチェンジ!!」 美咲が叫ぶ。眩い光と共に変身は一瞬で終わる。 詳しいことは判らないけど、DDDを身に着けてから不思議と モンスターの存在を察知できるようになった。 目の前に中程度の規模の『巣』が見える。 そこに立ち入ろうとする一人の女の人。このままでは、モンスターの餌になるのがオチだ。 ー運動係数制御。知覚50。体感速度100に再定義。『加速』開始ー 百倍に引き伸ばされた時間のなかで美咲は走る。 ー間に合え、間に合え!ー あと、距離は十メートル程度。時間は残り4秒。 ー間に合え!!ー 女の人の手を掴み、怪我をしない程度に投げ飛ばす。 残り2秒。 「いっけーーー」 そのまま、モンスターにパンチの一撃を叩き込む。 人間では、発声させることさえ不可能な多重子音の吐き気のする叫び声がする。 ー『加速』終了ー そして世界が動きだした。 「パルシオン、ソード」 剣型になったパルシオンで、目の前にいるやたら手足の長い 人型モンスターに一気に切りかかる。 しかし、イマイチうまく扱えていない。モンスターのパンチが パルシオンを上に跳ね上げる。 「このっ!」 美咲はそのまま、モンスターの肩を踏み台にして、上に跳び上がりそのまま、そのままパルシオンを掴みとる。 ー重力慣性制御開始ー そのメッセージと共に、美咲の体が急降下し、モンスターの片腕 を切り落とした。 「パルシオン、アーム」 剣型のパルシオンが一瞬で手甲型の砲塔に変わる。 その砲口に光の粒子が収束されていく 「フォトンスプレッドー!!」 声と同時に、パルシオンを突き出す。 すると、そこか無数の光弾が放たれ、モンスターの体を貫いた。 「なんか、すごいなぁ」 美咲は、手にしているパルシオンを見つめた。 「・・・ん?ここは」 玲奈は、目を覚ますとここが自分の部屋であることに気がついた 彼女は「亜莉栖」に住み込みで働いている。 「貴之君が負ぶってきてくれたのよ」 となりに座っていた沙由香が答える。 「沙由香さん。あなたがアイツらにDDDを渡した理由が 判ったよ」 「何?」 玲奈は、ベットから立ち上がり自分の黒いコートからマッチと 細葉巻を取り出し火をつけた。 「アイツらは、筋金入りのバカってことが・・・」 二人の間を、穏やかな時間と細葉巻の紫煙が流れっていった。 翌日 沙由香は、物憂げに写真立ての中の写真を見ていた。 玲奈は買出しに行ったのでしばらく帰ってこない。 遠い日の家族の肖像。 あの時のあとから写真は、全部捨てた。でも、これだけはそうする ことが出来なかった。 「お父さんがいて、遼子さんがいて、マドカがいて、ななかちゃんが いて、そして・・・」 写真の中で笑いながら自分の肩を抱いている恭平に指を当てる。 沙由香は、恭平をそのあるべき名で呼ぶことができなかった。 もし、その名を呼べば前みたいにきっと自分は崩れ落ちる。 これ以上弱くなるわけにはいかない。 そして、沙由香は写真立てを伏せようとした。 「沙由香さん。その人が柳瀬恭平なんですね・・・」 その声に、一瞬沙由香は写真立てを落としそうになる。 「ごめんなさい。驚かしてしまって」 後ろにいたのは美咲だった。 「教えてください。恭平さんって何者なんですか? 沙由香さんとどういう関係なんですか?」 美咲の顔はいつになく、真剣だ。そんな、美咲を尻目に沙由香 は、二人分の紅茶を淹れ片方を美咲に渡した。 「長くなるわよ。いいの?」 その問いに美咲は、うなずいた。そして、沙由香は紅茶を一口 啜った。 「恭平は、柳瀬恭平は、そう・・・私の夫だった人よ・・・。 13人のエスカレイヤーを生み出した張本人。 そして、そして何より・・・・」 ティーカップを持っている沙由香の手が僅かに震える。 「私の・・・家族の仇・・・」 それから、沙由香は目の前に美咲がいることを忘れたかのように 昔のことを話し始めた。 「あの人はとても優しくて・・・私本当に幸せで何もいらなかった」 「恭平は、高校のころはそんなに頭よくなかったんだけど、 それがいつのまにか大学の教授だなんて笑っちゃたわ・・・」 「恭ちゃんは・・・・」 思い出は、いくら忘れようとしてもその身に刻み込まれ消えること はない。本当の思いは、理性の壁を突き崩し。 そして、熱い雫は『強い自分』の仮面の隙間から、とめどめなく 溢れ出す。 「なのに・・・なのにどうして・・・・」 父親が、再婚した母親も死んだ。二人の妹達は姿を消した。 絶望の中、たった一人すがることのできた最愛の人は、 悪魔のような笑みを浮かべこう言った。 「博士も、遼子さんも、ななかも、俺が殺した・・・」 壊れる、壊れる、自分が、世界が、全てが・・・・ 「そして、私は全てを失ったのよ・・・」 沙由香は、流れ出る涙をなんとか止めた。 「私は、あの人を絶対に許さない・・・愛したから・・・絶対に・・・」 沙由香は、落ち着きを取り戻すため、深呼吸をし、残りの紅茶 を飲みほした。 「ごめんなさい。うまい嘘がつけなくて・・・こんな話聞かされて・・・ いい迷惑よね・・・」 「そんなことないです。本当の事を話してくれたってことは、それだけ信じてもらってるってことですよね?うれしかったです・・・」 「そう・・・ありがとう美咲ちゃん」 ちょうどその時、貴之が「亜莉栖」にやって来た。 「之ちゃん、バイクの方は?」 「ああ、あと2〜3日かかる。それに色々とやっておきたい事もある からな」 貴之が、椅子に座ろうとした瞬間、美咲が急に立ち上がった。 「もしかして・・・」 「うん」 慌てて駆け出していく二人の背中を沙由香は黙って見つめていた。 「パルシオン、ソード」 少しずつ戦い方が板についてきた美咲は先手必勝と言わんばかりに、モンスターに斬りかかっていく。 しかし、その攻撃はあっけなくはじき返された。 「か・・・硬い・・・」 短い足にしては、異様に巨大な腕を持つモンスターはその一瞬の隙をついて、その腕を美咲に叩きつけた。 「きゃああああっ」 重力慣性制御は間に合わず、そのまま近くの壁に激突した。 ゆっくりと近づいてくるモンスターに対して、美咲は立ち上がろうとする。 その時、 「パルシオン、シザー」 モンスターの向こう側から、声と共に人影が向かってくる。 その、コスチュームはオレンジ色で明らかに玲奈ではない。 「あ・・・あなたもエスカレイヤーなの?・・・」 次回予告 「戦い続けることだけが、柳瀬恭平に近づく道だ。 それにしか賭けることのできない人間がエスカレイヤーになれる」 「エスカレイヤー同士の戦いなんて絶対間違ってる・・・ でも、私はあなただけは許せない・・・」 ーもう戦うしかないんだー 二次元人間エセSF講座 第三回『モンスターとは何か』 人類の、エスカレイヤーの敵(もっとも、エスカレイヤーの本当の敵はエスカレイヤーなのですが) モンスター。これは、厳密には生物とは言いがたい存在で、 正体は『存在だけの存在』です。形はありません。ただ此処に 在るとういうエネルギーだけの存在です。彼らにとって生きるという ことは『形』を持つことです。『在る』というだけの不安定な状態から、形を獲得し『確固たる存在』として、他者に影響を与えていく。それが彼らの種としての願望です。(ほとんどの生命体が子孫を増やすことがそうであるように) モンスター達の存在する次元は、移動が可能で隣接する次元 に侵入し、そこで生きている生命体からエネルギーを奪い、それを元に形を形成していきます。 では、どうやってエネルギーを奪うのでしょう? 答えは、犯ってしまうことです。モンスターの力で擬似的にDDDと 同じことをしているわけです。ただし、効率は際限なく悪くその上 犯られた側の精神に極度の負担をかけます。 モンスターは、対象を数十回犯ったあと開放しますが、彼らは 1週間と持たずに廃人になります。 ちなみに、モンスターは基本的に女性しか狙いません。 何故かと言うと、女性の方が、エネルギー量が多いから。 基本的に女性の方が男性より、長寿でその上、新生児期の死亡率も女性の方が低い。第一女性には新しい生命を生み出せるだけのエネルギーがあるからです。 最後に何故、異次元の存在であるモンスターが蜘蛛型などの こちら側の生物の形をしているのか? それは、モンスターは侵入の初期段階では、現地の生物や、物品を参考にして自分の形を決めるからです。本編では、既に 初期段階は過ぎてるので、様々な形をしたモンスターが出てきます。 ー講義終了ー 次回は「世界演算理論とエスカレイヤー」です。 |
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