エスカレイヤー The Another
作二次元人間
スペシャルサンクス
エスカレイヤーを愛し、関わった全ての人たちへ
第一話
沙由香は、変わり果てた姿で俺の前に戻ってきた。
「マ・・マドカ・・・何なんだよこれ・・・なあ・・嘘だろ?冗談だろ?なあ!?」
俺は救いを求めるようにマドカにすがりつく。
「嘘だろ・・何かの悪い冗談だろ?嘘だって言えよ・・・嘘だって言えよマドカ!!」
そんな俺をマドカは、突き放し首を横に振る。
「嘘ではありません。沙由香さんは・・・・」
いつも沈着冷静なはずのその声は僅かに震えている。
「死にました」
それだけを残してマドカはこの場から立ち去った、逃げるかのように。
その体はボロボロに切り刻まれていた。
引き裂かれたコスチューム、真っ赤に染まった沙由香。
あきらかに、死んでから何度犯されていた。
「あ・・・あああ・・・」
ほんの数時間前まで、ぬくもりを共有しあっていたその肌はもう冷たい。
ほん少し前まで聞くことの出来た声は、もう聞こえない。
いつも俺を見ていてくれた瞳はもう・・・・・・何も映さない。
「沙由香、沙由香、沙由香、沙由香、沙由香、沙由香・・・」
呪文のように繰り返し、繰り返しつぶやく。
ぐったりとした体を抱きかかえ、その気持ち悪い冷たさに嘔吐しそうに
なりながも、懸命にその名を呼び続けた。
「お願いだ・・・目を覚ましてくれよ・・・沙由香・・・・」
冷たくなった沙由香は、当然なにも語りはしなかった。
第二話
ずっと逃げ続けていた。ずっと昔から、目をそむけ続けていた。
だから、そのツケが全部まわってきた。当然の報いだった。
ここは暗い。俺以外誰もいない、何もない。その闇が急に色づきだした。
「ここは・・・」
遠い昔暮らした場所懐かしい故郷。
そこに俺はいた。隣には幼いころの俺がいた。
「そういえば、あのころは沙由香以外友達らしい友達はいなかっ・・」
言葉が詰まる。小さい俺は手に黒い『何か』をまとわりつかせていた。
「な・・何なんだよこれ・・・」
頭が痛い。失くしていた記憶。封じていた過去。
その『何か』はなんでも吸い込んで、消してしまった。
小さい頃、それにきずいた俺は一人の時はよく、その『何か』で遊んでいた。
「おい、あそこにいるの柳瀬だぜ!!」
後ろの方から声が聞こえる、近所のいじめっ子の一団だ。
「この時俺は、ぼこぼこに殴られて・・・」
頭痛はますます酷くなる。
「痛いよ、みんなやめてよ〜」
そして、俺はあの『何か』で・・・
「何だよ、あの黒いの・・・」
いじめっ子たちが、あとずさる。
そして・・・・
「あれで、俺はあいつらを・・・・消したんだ・・・・」
黒い闇に喰われていく子供たち、こだまする悲鳴。
「俺が殺した・・・俺が、俺が殺したんだっっ!!」
その後、小さい俺は気を失って、きずいたら全部忘れていた。
自分のしたことも、力のことも全部無理やり蓋をしたんだ。
傷つきたくないから、逃げたんだ・・・・
「最低だ・・・最低じゃないか・・・人殺しのクセに・・・」
沙由香が戦っていたとき、俺は何をしていた?
一体何ができたんだ?
見ているだけだった、逃げ続けていた。全てから・・・
全てが黒く染まっていく、もうどうでもいい・・・
俺なんかは死んだ方がいいんだ。俺みたいな人間は・・・・
ー恭ちゃんー
「気がつきましたか?恭平さん」
俺の目の前にはマドカがいる。どうやら気を失っていたらしい。
「外が騒がしいけど、やっぱり・・・」
マドカはうなずく。
「はい、ダイラストです。恐らく沙由香さんを殺したのと同じヤツだと思われます」
マドカは、そのまま外に向かおうとする。戦うのだろう。
「マドカ・・・」
「?。どうしました恭平さん」
マドカは振り向きもしない。
「あいつが、沙由香が俺を呼んだんだ・・・人殺しでも、何も出来なく
ても『恭ちゃん』ってまた呼んでくれたんだ・・・」
「そうですか・・・」
それだけ言うと、マドカは窓から飛び降り姿を消した。
「俺は・・もう逃げない・・・」
誰もいない部屋で、沙由香に語りかける。
「俺はもう、恐れない。俺は・・・・」
それは決意の言葉
『戦う』
冷たくなった沙由香の頬に手を当て、唇を重ねる。
ー血の味がしたー
第三話
「きゅ〜きゅきゅきゅ。もはや、憎っくきエスカレイヤーはいない。目の
前のアンドロイドの小娘の命も風前の灯火。この僕アルチメットフラ
スト様のお陰で地球侵略は、成功したも同然!!やっぱり僕って
究極?きゅ〜きゅきゅきゅ」
ありとあらゆるものをごちゃ混ぜにした、わけのわからない形をした怪
人は、舌なめずりをして倒れたマドカを見た。
「こいつも、後でゆっくり死姦してやる」
「そいつは、できない相談だな。この変態が」
どこからともなく響く声。その正体は・・・
「きょ・・・恭平さん?」
「お・・おまえはっ!!」
恭平。柳瀬恭平だ。しかし、その髪は漆黒でしかも、目の瞳孔が
経てに裂け、紅く染まっている。さながら異形の化け物のように。
「おまえは、いつもエスカレイヤーの影に隠れている軟弱・・・」
アルチメットフラストは最後まで言うことができなかった。
「う・・・腕が・・・僕の腕がぁ〜〜〜〜〜〜〜」
恭平が動いた様子は無い。しかし、フラストの腕は始めからそこに無
かったかのように消えている。
「その名を言うな。あいつはもう十分過ぎるほど戦った。
エスカレイヤーを名乗る必要もない。高円寺沙由香はもう・・・・」
恭平は、一歩ずつ歩きだす。
「ただの女だ」
「何を〜かっこつけて〜。許さない!!必殺!!!秒間五百万発
アルチメットマシンガン!!!!どうにかしてこのネーミング〜〜」
「恭平さん!!」
マドカの悲鳴は無駄だった。その弾丸は一発も恭平に当たりはしな
い。全て、恭平に纏わりつく黒い闇に吸収される。
「俺は、おまえを喰う」
闇。無という状態すら存在しない絶対の虚無。深淵。
(ぼ・・・・僕は・・・・死ぬ・・・・・)
「くらえよ、沙由香の仇だぁ!!!」
闇を纏った恭平の拳が、フラストの『存在』を食い尽くす。
「きゅう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
断末魔と共に、アルチメットフラストは世界から消滅した。
同時に倒れこむ恭平。髪の色も瞳も元の戻っている。
「マドカ・・無事か?」
息も絶え絶えに問いかける。
「はい、何とか大丈夫です」
「そうか・・・よかった・・・・・」
立ち上がったマドカを見て安堵のため息をもらす。
(沙由香。俺はもうこれ以上、誰も死なせはしない。守り抜いてみせる。約束するよ、だから・・・・・・)
柳瀬恭平の戦いは、まだ終わらない。 完
後書き
初SSです。「熱いエスカレイヤー」を目指したんですが、この通り。自分の文章力のなさを知りました。できれば、感想ください。罵詈雑言でもうれしいです。最後に掲示板のみなさんありがとうございます。(ちなみに、三話のあのセリフはどうしても入れたかったので。オマージュだと思ってください)