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第一話
第二話
第三話
第四話
最終話

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スーパーマドカ列伝 第二話
“はぢめてのぬくもり“


午後の日差しがまだ強い残暑の街をやかましいエンジン音と悲鳴が支配していた。
ジェットローラースケートを履いて人ごみを疾走するスケートフーマン。
ある時は人を跳ね飛ばし、ある時は店頭の商品を破壊して去っていく。
街の人にとっては迷惑極まりない。
またスケートフーマンが人を跳ねた。
金髪のコギャルが携帯電話を持ったまま血を吹きながら地面に転がる。
友達であろうコギャルが悲鳴を上げているが知ったことではない。
スケートフーマンは、それをあざ笑うかのように振り返るとブーブーと
叫び走り去っていった。
そして次の獲物を探すべく正面を向くと、そこにぬっと何者かの手が突き出された。

「ブッ!!」

止まらなければ、とは思ったが時速60kmで突っ走っているのだ。
止まれるはずがない。
謎の腕が顎に見事にヒットした。

「ブエ!!」

それでも車輪のついた足は前進しようとするので、喉を支点に体が回転する。
鉄棒の大車輪よろしくグルッと半回転する逆さになったまま跳んでいった。
後頭部から激しく地面に落下しそのまま動かなくなる。
大の字になってグルグルと目を回してるさまが情けない。
そんな間抜けなフーマンを謎の腕の主は、不機嫌そうな顔で見つめていた。
緑の髪にメイド服を着込んだ少女、マドカである。
なぜマドカが不機嫌なのかと言うと出撃前のちょっとした騒動が原因だった。


<30分ほど前>
昼間だと言うのに男と女はベッドで絡み合っていた。

「ああん、きょ恭ちゃん、私、もうダメ、欲しいの、おねがい・・・」

体をくねらせ、甘えた声を出す沙由香。
それに応えて恭平は股間から顔を離し、沙由香の上に覆い被さっていく。

「きて、恭ちゃん」

頬を桜色に染め、潤んだ瞳でと息混じりに恭平を誘う。
恭平がぐっと腰を突き出そうとした時、真横からいきなり声がした。

「街が大変です。沙由香さん出撃してください。」

「わあ!!」

「きゃあ!!」

突然声をかけられ仰天する二人。
いつの間にかマドカがベッドの横に座っている。

「いきなり声かけんなって言うか何でお前がここに居る?!」

慌てて沙由香から離れながら恭平が噛み付く。
沙由香は驚いて声も出ないようだ。

「そんな事を言っている場合ではありません。
街でフーマンが暴れています。
 街の平和を守る為、出撃しなければなりません。」

恭平の質問を無視して淡々と告げるマドカ。
絶妙なタイミングで出てくる辺りが非常にわざとらしい。
邪魔をしているとしか思えない。
だが言っていることが正論なので反論できない。

「ぬーーーーっ」

それでもこれからという所を邪魔されて気持ちが治まらない。
しかし言葉が出てこない。
にらめっこ状態になる。

「エナジーの充填は後でもできます。
 早くしないと被害が増えるばかりですよ。」

悪びれた風も無くマドカが沈黙を破る。これも正論だ。

「ちっ!」

街を放って置くわけにも行かず、にらめっこを止めて仕方なくベッドを降りる恭平。

「あ、ちょと、恭ちゃん?」

その行動に戸惑う沙由香。
火照りの収まらぬ体をモジモジと揺らしながら恨めしそうに見つめる。
背中にその視線を感じながら恭平はいそいそと服を着始めてしまった。
その様子に沙由香の顔が不機嫌になる。

「さあ、沙由香さんも早く支度してください。」

マドカが追い討ちを掛けると沙由香の頬が一気に膨らんでいく。

「やだ!私行かない!」

突然そう叫ぶとシーツに包まってしまった。

「さ、沙由香さん?」

その行動は予想外だったのかマドカが慌てて声をかける。

「ちょっと本気ですか?
地球がピンチなんですよ!」

必死の説得もヘソを曲げた沙由香には通じなかった。

「やだっていったらやだ!
フーマンぐらいマドカがいけばいいでしょ!
マドカが!」

シーツから顔だけ出して半泣きで怒る沙由香にマドカはそれ以上何も言えなかった。
充填とはいえエッチの恨みは恐ろしい。
結局フーマン退治をマドカがする羽目になってしまった。


フーマンを見下ろしながらマドカが愚痴をこぼす。

「サポート役のはずなのに、何で私が・・・・・」

前回は2体同時に現れたお笑い芸人怪人、漫才フロストと物まねフロストを同時に
迎撃する為に初めて単独で戦った。
だが今回は1体、本来マドカが出張る必要は全く無いのである。
エッチを邪魔したのが悪いのだから自業自得と言えばそれまでなのだが、
何か納得がいかないマドカであった。

「マドカ、何をやってる!
早くトドメを刺しちまえ!」

もたもたしているマドカに恭平の叱咤が飛ぶ。
マドカは面倒くさそうにガトリング砲を向けると短く発砲した。
体に幾つもの穴をあけられ爆発するスケートフーマン。
爆発の炎が照らすマドカの顔はまだ渋面のままだった。

「ブラボー!見事な手並みです。
さすがはエスカレイヤーのお仲間と言ったところでしょうか」

謎の声とパチパチと拍手をする音が背後から聞こえてきた。
反射的に振り返る。
そこにはさっきまでいなかったはずの怪人が立っていた。
マドカの目がすうっと細められる。
さっきの渋面とは打って変わった真剣な眼差し。
突然の来訪者に警戒の色を強める。
フルフェイスのヘルメットにライダースーツ。
一見すると赤ずくめのただのライダーに見えなくもない風貌だが
胸についたレーシング用のウイングと体中の車輪、
そして背中から生えた6本のエグゾーストが怪人であることを主張していた。

「おやおや、驚かせてしましたかこれは失礼。
私はF1フロスト。
スケートフーマンを暴れさせ、貴方を誘き出した張本人です。
もっとも当初の予定では貴方ではなく、
エスカレイヤーが出てくる予定でしたが・・・」

バリバリッと短いガトリング砲の発射音が余裕綽々の口上を遮った。
不意をついた一撃。
しかし銃弾は一発も当たることなく怪人の横を通り過ぎて行く。
F1フロストは直立のまま一瞬の内に1mほどの距離を移動していた。
マドカの脳裏に戦慄が走る。

「せっかちはいけませんねえ。
人の話は最後まで聞くものですよ。
私にとってはどちらが先でも構わないんですよ。同じ事ですから。
私はスピードに自信がありましてね。
負ける気がしないんですよ。
ちなみに貴方は攻撃力は高いがスピードはエスカレイヤーより遅い。
違いますか?
つまり私のスピードにはついて来れない。
もっともエスカレイヤーでも私に指一本触れる事は出きないでしょうがね」

そういって高笑いする。
マドカは不意打ちを避けられた事にショックを受けながらも考えていた。
奴のスピードは半端じゃない。
口上もさっきの動きからハッタリではないだろう。
しかし反応出きないスピードではなかった。
当たれば勝てる。
マドカは厳しい表情でそう判断すると攻勢に出た。
F1フロストの側面の回りこむように移動しながらガトリング砲を連射する。
その行動に反応して敵も動き出す。

「勝てないと分かっていながら戦いを挑む。
愚かですねぇ!
 でもいいでしょう。
ショータイムの始まりです!」

高速移動し、銃弾を避けながらF1フロストがあざ笑う。
マドカは、ガトリング砲で追いきれないと見るや急停止。
怪人の動きを目で追いながら、続いて背中のマイクロミサイルを発射した。
大量のミサイルが一斉に襲い掛かる。
しかしF1フロストはホーミングするミサイルを左右に動いて器用に回避して行く。
当たるどころかかすりもしない。
まるで紙一重で交わすのを楽しんでいるようにも見える。
そして間合いを詰めたかと思うと動きの止まったマドカに右ストレートを叩き込む。

「くうっ!」

辛うじて左のガトリング砲でガードしたものの、それで精一杯だった。
予想外の展開だ。
ホーミングミサイルまで避けられるとは思わなかった。
でも今更止められない。
F1フロストも反撃を警戒して一旦離れていく。
典型的なヒット・アンド・アウェイ。
そしてまたマドカが撃ち、怪人が避ける。
何時しかそれの繰り返しになっていた。
予想以上のスピードに事態は何も進展しない。
その上怪人は冷静で一部のミスも無いのである。
マドカの顔に苦渋の色が見え始める。
まだ残弾があるうちはいい、だが無くなったら・・・
そう考えている間に最悪の事態が!
最後の武装ガトリング砲がカタカタと空転を始めたのだ。

「!!」

マドカの背中を冷たいものが走りぬける。
残弾無しと分かるやF1フロストが動きを止めた。
両手を広げ、呆れたような仕草で喋りだす。

「おやおや、もう終わりですか?
それは残念です。
私としてはもう少し楽しみたかったのですが、仕方ありませんね。」

一旦言葉を切って、喉を掻き切るジェスチャーをしてみせる。

「ここからは私に歯向かった哀れな子羊へのお仕置きタイムと致しましょう。」

相変わらずの傲慢な物言いは、途中から危険な香りを振りまいていた。
眉を寄せた苦悶の表情のマドカを楽しむかのようにくくくっと笑う。
全身から危険なオーラを発していた。
F1フロストが獲物の周りを猛スピードで回り始める。
そしてさっきまでとは違う容赦のない攻撃が開始された。
あまりのスピードにほとんど反応できず打ちのめされるマドカ。
つむじ風に踊る木の葉のように翻弄される。
服が裂け、ガトリング砲は折れ曲がり、ミサイルポットが砕け散る。
そしてトドメとばかりに強烈なローリングソバットがマドカの腹部を直撃した。
くの字になったマドカは後方に吹き飛ぶ。
ブティックのショウウィンドウを突き破り、マネキン達を道ずれに店内へと
転がって行った。
その光景を見ながら勝ち誇ったようにF1フロストが口を開く。

「ん〜!今のはちょっとやり過ぎたかな。
強すぎるってのも罪ですねぇ」

手を腰に当てて高笑いを上げる様は何処か下品だ。
これが地なのだろう。
馬鹿笑いが響く中、マネキンたちを押しのけマドカがゆっくりと立ち上がる。
体中の関節ギシギシと軋むがそれは無視した。
直立すると役に立たなくなったミサイルポッドとガトリング砲を排除する。
そして恭平に聞こえないように基地にのみ通信を開いた。
なんとなく恭平さんには聞かせたくなかった。
決心が鈍るから。

「これよりアクセラレーターを使います。
博士、何分持ちますか?」

淡々とだが苦しそうな息使いでマドカが問い掛ける。
その問いに高円寺博士は、戸惑いを隠せなかった。
マドカに搭載されたアクセラレーター。
それは自爆装置の変わりに取り付けられた一種のブースト装置である。
使用すればパワー、スピード、反応速度全てが飛躍的にアップする。
その反面機体に掛かる負荷が大きく、ものの数分でオーバーヒート
してしまう欠点を持っていた。
アクセラレーターは、諸刃の剣なのだ。
今負荷を軽減する高機動用ユニットを研究してはいる。
だがまだ完成には至っていない。
高円寺博士は一瞬悩んだがすぐさま違う答えを返した。

「撤退しなさいマドカ。一旦戻って対策を練ろう」

諭すようなやさしい口調だった。

「ダメです!」

珍しく強い口調でマドカがその提案を蹴った。

「今こいつを倒しておかなければ次に狙われるのは沙由香さんです。
 残念ですが今の沙由香さんでは奴のスピードに勝てません。
 でも私ならアクセラレーターで奴のスピードを上回ることが出来ます。」

“もし倒せなくてもダメージさえ与えられれば時間は稼げます。”
そう思っていながら最後の一言は言わなかった。
穏やかな口調でもう一度問い掛ける。

「お願いです。教えてください博士。

私の体は何分持ちますか?」
高円寺博士は、答えるしかなかった。
もし答えなくても迷わず使うだろう事が分かっていたからだ。

「2分、いや今の状態だと1分が限度だろう。
それ以上は持たない。
一気に決着をつけろ。いいな!」

絞り出すような声、博士も辛いのだ。
マドカには最後の一言か何よりも嬉しかった。
私にも心配してくれる人がいる。
そう思うと恭平さんの顔が脳裏に浮かんだ。
恭平さんにもう一度合いたい。
その思いが僅かな可能性を希望に変える。

「了解。ありがとうございます、博士」

静かに礼を言うとスッと目を閉じる。

「1分で倒します。」

マドカの瞳がもう一度あけられた時、瞳の色が普段のワインレッドから真紅へと
変わっていた。
弾かれたように突進するマドカ。
鋭く踏み込むとそのまま右ストレートを怪人の顔面に放つ。

「おわっ!!」

突然の襲来にF1フロストは驚いていた。
先ほどとはスピードが違いすぎる。
慌てながらも両手でガードしようとするが、
そのガードの間を縫ってマドカの拳が顔面を捉えていた。
一瞬地面から浮き上がるほどの衝撃。
F1フロストは、たまらず距離を取る為、車輪を逆回転させた。
そして何とか逃げようと僅かに空いた隙間に腰のホイールマインを苦し紛れに投げつける。

「!!」

マドカは、それが爆発物だと直感するが、あえて避けなかった。
ドカンと言う爆発と共に黒煙が辺りを包んむ。
炎の熱と何かが焼けるにおいが鼻腔を刺激する。

「ざまあ見ろ!」

F1フロストは、思わず声を上げた。
いつの間にか素の下品な喋りになっているが気付いていない。
よほど余裕が無いのだろう。
だが嘲りを遮るかのように黒煙の中から白い腕が現われる。
袖が焼け落ち、所々火傷の有るマドカの腕が怪人の顔面を鷲掴みにする。

「逃がさない!」

煙の中で二つの瞳が赤く光っていた。

「ひいいっ!!」

F1フロストの顔が恐怖にゆがむ。
次の瞬間、恐怖で硬直した怪人の体が空中で真横になった。
マドカの足がオーバーステップして怪人の足を刈ったからである。
何が起こったのか解らぬまま頭部だけが地面へと加速していく。
まるで意識だけがその場に取り残されたような感覚。
そして豪快な炸裂音の中、ぬけがらの後頭部が地面にめり込んだ。
間髪入れずマドカはアスファルトを蹴って宙に舞う。
F1フロストは脳みそを揺さぶられながら空を見ていた。
そこに新体操の選手のように空中で宙返りをするマドカ映っている。
のんきに華麗だとか思っているとその両足が自分の方に迫ってきた。
ぼんやりとした意識の中で激しく警告を発する本能。
反射的にごろごろと横に転がって避けていた。
一瞬前に居た場所へマドカが空から降って来る。
ドカンと言う衝撃と共にアスファルトに小さなクレーターが出来上がった。
食らっていたらお陀仏だったかもしれない。
F1フロストは、冷や汗をかきながら立ち上がった。

「ばかな!俺が押されているだと?
認めん!断じて認めん!」

むなしい叫びがこだまする。
着地直後直立不動のマドカの顔がゆっくりとこちらを向く。
F1フロストの叫びを全く無視するかのような涼しい顔。
その顔に苛立たしさを感じずに入られなかった。

「なめるな!」

間合いを詰め、スピードの乗った左ストレートを放つ。
常人には見えないほどの鋭いパンチ。
だがマドカはそれを難なく避けた。
赤い瞳の残像だけが脳裏に残る。

「この!この!この!・・・」

避けられた事にショックを受けながらも続けてパンチを繰り出すF1フロスト。
しかしその全てが空を切る。
“無駄だ“と云わんばかりに赤い瞳がF1フロストを睨んでいた。
まさしく睨まれたカエルの様にビクッと身を震わせ立ち尽くしてしまう。
次の瞬間マドカの反撃が始まる。

パンッ!

恐怖に脅える怪人の顔面に衝撃が走った。
殴られた、それは理解できたが全く見えなかった。

パパパパパパンッ!!

続けざまに全身に激痛が走る。
やっぱり見えない。
なすがままに倒れることも許されず殴られ続けるF1フロスト。
さながら怪人サンドバックだ。
朦朧としていた意識に活を入れるようにトドメのサマーソルトキックが顎を捉える。
F1フロストは高々と吹っ飛び、顔面からドシャっと地面に落下した。
やったかと思えるほど手応えは十分だった。
間違い無く多大なダメージを負っているはずだ。
だがマドカの予想に反して一秒と経たずに動き始める。
ふらふらと立ち上がる怪人を見つめながらマドカは考えていた。
結構しぶとい。マドカはこれでダメなら・・・・・
F1フロストは、立ち上がると怒りに全身を震わせて叫び始めた。

「そんなバカな!これは何かの間違いだ!
俺はスピードは世界一なんだ!
最強なのだ!
 スピードキングは無敵なんだぁ!!」

狂ったように叫び続ける。
割れたシールドから除いた瞳が狂気の色に染まっていた。
そして獣のような雄叫びを上げるとマドカに突進して、稲妻のような右ストレートを放つ。
構えもせず自然体のまま、マドカは黙ってそれを真紅の瞳で見つめていた。
右拳が一直線にマドカの顔面を目指して行く。

(ほうらやっぱり何かの間違いだ。
ちょっと本気になれば反応することすらできないじゃないか。
やっぱり俺は無敵のスピードキングだ!)

そう思った直後、右ストレートの軌道が上へと捻じ曲がった。

「?」

マドカの左肘に跳ね上げられたことに気付く間もなく、今度は顎に衝撃が走る。
その衝撃は顎を砕き、脳天へ駆け抜けて行った。
一瞬でF1フロストの視界が空の青に切り替わる。
そして跳ね上げられた反動で顔面が戻ってくる頃、
今度は視界いっぱいに肌色の拳が映っていた。
右カウンターアッパーから左ストレートへのコンビネーション。
渾身の一撃をマドカは迷うことなく振り抜いた。
陥没した顔面ごとF1フロストが宙を舞う。
ヘルメットの破片を撒き散らしながら10mほど飛んだ後2,3度バウンドして止まった。
大の字になったF1フロストは2度と動くことは無かった。

「勝った・・・・」

怪人の沈黙を確認するやマドカその場にへたり込んでしまった。
全身の関節がバチバチとスパークし悲鳴を上げている。
武器を一切使わずアクセラレーターに全てのエネルギ−を注ぎ込んだ。
その上激しい格闘戦。
高稼働での戦闘時間58秒、ギリギリだった。
でも勝てた。
これなら恭平さんに褒めてもられるかもしれない。
そう思うと自然と顔が嬉しそうに緩む。
マドカは意識が薄れる中、最後の報告をした。

「任務完了」



気が付くとマドカは何かに揺さぶれらていた。
暖かい感触、誰かに背負われているようだ。
ぼやけた視界に見覚えのある金髪の頭が見える。

「恭平・・・・さん?」

マドカは寝ぼけたように呟いた。
その声に反応して恭平が振り返る。

「起きたのかマドカ、また壊れたのかと想ったぞ!」

慌てた様子で恭平が言った。

「また?」

不可思議なことを言う恭平にマドカが質問する。

「あ、いや、無事ならいいんだ。無事なら」

はぐらかす恭平を疑問に想いながらも現状を報告する。

「体の大半は動きませんが、システムに異常はありません。
ブラックアウトも通常モードへの切り替え時に負荷が掛かった為です。
たいした事では有りません。」

「たいした事ないだあ?」

淡々とした口調で報告するマドカに怒気をはらんだ恭平の目が向けられる。
しかし傷だらけのマドカの顔を見るや否や恭平は、睨むのをやめた。
恭平さんが怒っている。
それはマドカにもわかったがなぜ怒っているのかまでは解らなかった。
おかしい、褒められるはずだったのに・・・・
自分なりに怒っている理由を考えてみる。
マドカは今恭平さんにおんぶされている。
おそらく回収してくれたのも恭平さんだろう。
と言うことは面倒を掛けたので怒っているのだろうか?

「ご迷惑を掛けたみたいですね。すみません。」

素直に謝ってみた。

「いいよ、大した事じゃない」

そっけない答えが返ってくる。
では私が重いのだろうか?

「重くないですか?」

「いいよ、大した事じゃない」

さっきと答えは同じだった。どうやら違うらしい。
では何だろう?思いつかない。
マドカが頭を悩ませていると、今度は恭平に方から口を開いた。

「マドカ、お前、俺に内緒で無茶なことしただろう!
どうしてそういう事するんだよ!
お前が沙由香を心配したように、俺もお前が心配なんだ!
だから金輪際俺に黙ってあんな無茶はするな!
いいな!」

恭平は一気にまくし立てるとプイッと正面を向き又歩き出した。
それを聞いてマドカはやっと恭平が怒っている理由を理解した。
私が無茶をしたから怒っているのだ。
心配したからこそ怒こっているのだ。
心配してくれたのだロボットの私を。
私は機械だ。沙由香さんとは違う。
でもこの人はそんな私を心配してくれている。
本気で心配してくれている。
そう想うと胸の奥が温かくなるのを感じずに入られなかった。
マドカは恭平の背中に頬を寄せると小さく

「はい」

と答えた。
秋の夕日に照らされたマドカの顔はどこか嬉しそうに見えた。



ケーン・ワカバマークです。
やっと出来ました第2話。なんだかとっても疲れてます。
なので第3話は結構時間が掛かるかも・・・
でもべつにいいよって言われると寂しいのでやっぱり頑張ってみます。
しかし自分の表現力の無さを痛感している今日この頃、
勉強しないといけません。
例によって文章が変だったり、誤字脱字が有ったりするかも知れませんが
許してください。