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第九章

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 エスカ王子の結婚式は、国を挙げて祝われた。
 
 豪華な馬車が、何台も列をなし、市内をめぐる。
 華やかなパレードの中心で、沙由香は笑顔で手を振っていた。
 笑顔が沙由香を輝かせ、国民は熱狂的に旗を振った。
 沙由香が、伴侶を振り返る。
 
 「みんな、あたし達を祝福してくれてるよ」
 
 「…………」
 
 沙由香の背後には、豪華な十字架が立てられていた。
 十字架に四肢を拘束されたシンデレラは、黙ってうなだれていた。
 沙由香は不服そうな顔をした。
 
 「もう……
  どうしたの、恭ちゃん。
  もっと、嬉しそうな顔してよ」
 
 「できるわけ、ねぇってんだ………」

 いきなり、シンデレラの目が裏返り、口から泡がもれた。
 スタンガンをおし当てられたかのように、全身が痙攣する。
 
 「あががががががが」
 
 マドカが平然と、機械のダイアルを、0に戻した。
 シンデレラの悲鳴が、おさまった。
 ぐったりとしたシンデレラに、マドカはささやいた。
 
 「うれしいなあ」
 「…………」
 
 無言のシンデレラに、ダイアルをちらつかせながら、マドカは繰り返した。
 
 「うれしいなあ」
 「う……うれしいなあっ」
 
 涙を浮かべながら、シンデレラはやけくそのように叫んだ。
 
 「あたしも!」
 
 沙由香が、シンデレラに抱きついた。
 嬉しげに、今後の予定を語る。
 
 「結婚式が終わったら……
  新婚旅行だからね」
  
 「…………」
 
 「なんと、世界一周だよ!
  ふたりっきりで、半年の日程なの!」

 「は……半年も?」
 
 虚ろな目をさまよわせるシンデレラに、マドカがささやいた。
 
 「ええっ、信じられないっ」
 「……ええっ、信じられないっ」
 
 「でしょお?」
 
 沙由香はシンデレラにキスをした。
 
 「今夜は、国で一番のホテルに泊まるの。
  当然、ロイヤルスイートなの。
  海のそばなの。
  きゃあ〜〜〜っ」
 
 頬を染めて抱きついた。
 
 マドカがささやく。
 
 「ああ、楽しみだなあ」
 「……ああ、楽しみだなあっ!!」
 
 「いや〜〜〜っ、
  恭ちゃんの、エッチ」
  
 「はっはっは」
 「は………はっはっは」
 
 シンデレラの頬を、だらだらと涙が流れていた。
 それを見て、沙由香が感激してキスの雨を降らした。
 
 「嬉しい……嬉しい!」
 

 教会の鐘が鳴り響く。
 巨大なチャペルへと続く道を、若い二人は進んでいった。
 
 「恭ちゃん、
  幸せになりましょうね」
  
 
 「ああ、そうだね」
 「あ……ああ、そう………だね……」
 


 そして、シンデレラは、末永く幸せに暮らしたそうです。


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