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第三章

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 屋根裏部屋。
 
 ほうほうの体で逃げ出したシンデレラは、体中の発熱と、それに伴う発汗、
 そして忍び寄る悪寒に、体をふるわせていた。

 がちがちがちがち。

 すきま風が、シンデレラの体力を、容赦なく奪っていく。
 寝具もない部屋で、シンデレラは新聞紙にくるまって震えていた。
 明らかに病気の兆候を示していたが、栄養のない体は、抵抗力がなかった。
 
 「こ……このままでは……
  オレは……死ぬ」
  
 絶望的なつぶやきをもらした時。
 自らをつつむ新聞の記事が目に入った。
 
 『王子の花嫁選び!』
 
 「……なんだって?」
 
 シンデレラは、月明かりで新聞を読んだ。
 そこには、今夜、王子の妃を選ぶための舞踏会が催されるとあった。
 
 王子にみそめられれば、一国の妃となれるらしかった。
 
 「一国の妃……
  そうなれば、こんな生活から脱出できる……」
  
 つぶやいたシンデレラは、がっくりとうなだれた。
 
 「ははは……
  招待状もない、馬車もない。
  なにより、舞踏会に着ていくドレスすら一枚もない」
 
 ため息をついた。
 
 「あいつら……あのばばあと鬼のような義姉が着飾ってたのは、
  こういうことか……」
  
 ベッドに身を投げ出した。
 顔を覆った手の間から、つっ、と涙がこぼれ落ちた。
 
 「親父が……親父があんなばばあに、たらし込まれなきゃ……
  お袋さえ、生きててくれたなら……」
  
 「くそっ、素材の良さには、自信があるのに」
 
 
 ひねくれて、星をにらんだシンデレラの前に、ぬっと顔が突き出された。
 
 
 「ばあっ!!!」

 「うわわわわわわっっっっ!!!」


 驚き、あわてるシンデレラを見て、フードの女はけらけらと笑った。
 
 「あはははっ、びっくりした? ねえ、びっくりした?」
 
 「びっくりした、じゃねぇっ!!」
 

 ぜいぜいと荒い息をつきながら、シンデレラは叫んだ。
 
 「恭ちゃん、そんなに、怒らなくても……」
 
 不満そうに口を尖らせる女に、シンデレラは尋ねた。
 
 「お前、誰?」
 
 「えっ?
  シンデレラときたら、魔法使いのおばあさんは基本でしょ?」
  
 「おばあさんって、お前、どう見ても10代……」

 「あ、そっか、恭ちゃんは覚えてないんだ……」
 
 うんうんと肯くと、フードの女は説明した。
 
 「あたしは、魔法使いの沙由香。
  恭ちゃんを、舞踏会につれていってあげるために、来たんだよ。
  それで……」
  
 「わたしが、助手のマドカです」
 
  シンデレラの背後から、緑の髪の少女が会話に加わった。
  シンデレラは、うさんくさそうに二人を見た。
  
 「舞踏会って……
  どうやって? いっとくが、見ての通り、オレは何にももってないぞ」
  
 「それは、もちろん、魔法を使うんだよ」
 
 沙由香が得意げに胸をはった。
 巨乳がぶるんと揺れる。
 
 「魔法? お前が?」
 「あ、信じてない?
  これでも、地球で一番の魔法使いなんだよ、あたしは」

 「へぇぇ」
 
 シンデレラは、全身の痛みに朦朧となりながら、考えた。
 これが嘘でも、自分に失うものはない。
 もし万が一、本当だったら、自分の人生に逆転の機会が来たも同然だと。
 
 「よしっ!」
 
 シンデレラは気合いを入れた。
 
 「なにがなんだかわからんが、わかったっ。
  さ、やってくれ、今すぐやってくれ。
  城の舞踏会は、あと4時間位で始まるんだからな」
  
 ずずい、と迫るシンデレラに、沙由香は困ったような顔を向けた。
 たちまち、シンデレラが疑惑の視線を向ける。
 
 「なんだ? やっぱりガセなのか?」
 
 「い、いや、そうじゃなくて……」
 
 そのとき、助手のマドカが会話に割り込んだ。
 
 「わたしから説明しましょう。
  今、沙由香さんの魔法エネルギーは、枯渇しているのです」
  
 「は?」
 
 「魔法をかけるには、エネルギーを補給する必要があるのです」
 
 シンデレラは、なんだ、という顔をした。
 
 「だったら、早いとこ、エネルギーを充填すればいいだろ」
 
 「ご協力、いただけますか?」
 
 「おう」
 
 気前よく返事したシンデレラは、沙由香がもぞもぞと服を脱ぎ出すのをみて、仰天した。
 
 「ちょっとまて。
  なんで服を脱ぐ必要がある?」
  
 「え、だって恭ちゃん、協力してくれるって……」
 
 「なに?」
 
 恭平の疑問に、マドカが解答を与えた。
 
 「沙由香さんのエネルギーは、性的興奮によって補充できるのです」
 
 「は?」
 
 「つまり、Hすることによって、魔法が使えるようになるのです」
 
 「まて……まて。
  なんだ、その無茶苦茶な設定は。
  しかも、なんかどっかで聞いたような気がするぞ?」
  
 「そんなことはどうでもよろしいのです。
  Hするのですか?
  しないのですか?」
  
 うーん、と悩むシンデレラの脳裏に、高笑いをする継母と3人の義姉の姿がよぎった。
 
 「やる!」
 
 力強く宣言したシンデレラの服を、マドカが手際よく剥いでいく。
 
 「お、おい」
 「さ、遠慮なく、沙由香さんのいやらしい躰に、あなたの劣情を叩きつけてください」
 
 ベッドで沙由香が微笑んだ。
 
 「恭ちゃん……きて」
 
 ごくりと唾を飲み込んだシンデレラの全身が、ぴしぴしと鳴った。
 無数の打撲傷が、シンデレラの体を責めさいなんだ。
 
 
 『体がもつかな……』
 
 ボリュームたっぷりの沙由香の躰を見て、シンデレラは不安になった。


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