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みすぼらしい身なりの少女が、雑巾がけをしていた。
大きな、古びた屋敷は、少女の努力によってみちがえるように綺麗になっていた。
古ぼけた柱も、すり減った床も、黒くつや光っていた。「ふう。」
汗を拭き、顔をあげたメイド服の娘は、満足そうに背後を振り返り、自分の努力の跡を眺めた。
「やっときれいになったわ」
可愛らしくつぶやいた少女は、流れる汗をふくと、自分を励ますようにつぶやいた。
「がんばれ、あたし。
屋敷全部なんて、お義母さまも無茶いうわね。
でも、あたし、負けない。」天井を見上げて、その先の天を見つめる。
「みていて。
天国のお父様、お母様。
私は、負けません」祈るように目を閉じたシンデレラは、敬虔な表情で天の両親に語りかけた。
「…………」
祈るうち、ゆっくりと顔色が赤くなっていく。
「…………」
そしてどす黒くなっていく。
「…………」
シンデレラの顔は、険悪なものになっていた。
手の雑巾を、思い切り床にたたきつける。
べちゃっ。
「あああああああ、やってられっか!」
金髪をかきむしると、恭平は絶叫した。
「なんでオレがシンデレラなんだぁっ!」
「カット!
カットです。」
何もない空間から、緑の髪の少女が現れた。手のメガホンを、恭平の頭に叩きつける。
「いい加減にしてください。
なんどNGを出したら気が済むのですか」「だってよ……」
「だってじゃ、ありません」マドカは恭平の尻をつねりあげた。
恭平が悲鳴を上げる。「厳正なくじ引きの結果に、文句をつける気ですか?」
「厳正って……
そのくじは、いつ、誰が引いたんだ?
オレはしらないぞ?」「それは、とっぷしーくれっとです」
「……それで納得すると思うか?」
マドカは素早く恭平の背後に回った。
「納得して頂きます」
ぷし。
「あ?」
全身が脱力した恭平は、意識を失う寸前、マドカの手に無針注射器があるのを見た。
「催眠誘導剤です」
マドカは、無表情に言った。
「目覚めたら、あなたはシンデレラになっています。
シンデレラです。
シンデレラ…
シンデ……
シン……」
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