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いきなり、マドカが外に走り出た。
慌てて恭平が追う。
高円寺家の庭で、マドカは背中から巨大なバーニアを形成させていた。
「な……なんだ、それは」
「恭平さん」 マドカは装備を調えながら、恭平に尋ねた。「沙由香さんを救出する、最初で最後のチャンスです……
危険です。
とても、危険です。
それでも……きますか?」
心配そうなマドカの声に、恭平は答えた。
「おう!」マドカはうなずくと、恭平を抱えた。
耐Gスーツを用意するヒマはなかった。
12基のバーニアの半数に、点火する。
「いきます!」マドカは紫色の光を追って、上昇した。
------------------------------------------------------------------------------上空。
ななかは目を閉じていた。
FMシリーズとして作成されたななかは、異空間のありかを計算する必要はない。
異空間を感じ取り、4次元的に認識する機能がすでにあるからだ。
地球人の想像も及ばぬ知覚で、ななかは近隣の異空間を次々と探査していた。
『いた!』ななかの脳裏には、フラストどもが移動する空間が、正確に投影されていた。
自分と同じ遺伝子を持つ肉体が、次に転移する空間が、さらにその先、さらにさらにその先が、ななかの脳では自明の事実として処理される。
「そこぉっ!!」ななかは急降下をはじめた。
その先に、イデアの空間ができはじめる。
「お姉さまっ!!」ななかは、イデアの壁をくぐった。
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「ぐわっ」恭平の視力が失われた。
マドカの急激な機動で、目への血流が絶たれたのだった。
それに気づいたマドカは、しかし別の事を言った。
「恭平さん」
「なんだ?」
「ななかさんに追いつくには、今のままでは間に合いません。
加速していいですか?」
「当たり前だ」恭平は、一瞬も迷わず言い切った。
しかしその目は、あさっての方を向いている。
マドカは微笑んだ。
「いきますっ!!」背中から、更にバーニアをつきだし、その全てにマドカは点火した。
異空間の応用技術でバリアを張るが、完璧ではない。
恭平の全身の骨を、強烈なGが襲った。
恭平の口から、赤い液体が零れて飛び散った。
その瞬間、マドカは、イデアの壁をくぐった。
すぐに、それは閉じた。
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