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第一章

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「せんせい……」

 甘く、鼻にかかったささやきが、耳の奥をふるわせた。
 そろそろと、背後から回された手が、ひき締まった腹の前で交差した。
 そのまま抱きしめられる。

「あん……」

 首筋に、押し殺すような息遣いを感じる。
 
「オレ……」

 背後の手が、そのまま上へと滑ってくる。
 滑らかな脇の線にそって、ブラウスの手触りを確かめるように、這い上ってくる。
 その先には、豊かな双丘が息づいていた。
 ダイナミックなカーブを描く、その下の境界に。
 
 きた。
 
「……だめよ」

 やわらかく、かすれた声でささやくと、背後の手は止まった。
 その上に、白い手を優しく重ねる。
 
「それ以上は、だめ」

 ささやき声がききかえす。
 
「どうして?」

 そのまま時間が止まる。
 お互いの体温を交換しながら、ゆっくりと息をする。
 
 すぅ。
     はぁ。
 すぅ。
     はぁ。
 すぅ。

 すぅ。 はぁ。

 すぅ。 はぁ。

 すぅ。 はぁ。

 
 いつしか、自分の呼吸と背後の呼吸が一致してるのに気づく。

「あ……」

 背後から、耳を舐められていた。
 濡れた音と共に、再びささやかれる。

「どうして?」

 全身の力が抜けた。
 背筋をふるわせながら、ようやく声を絞り出す。
 
「だって……私は……教師なのよ」
「知ってる」

 再び背後の手が、上昇を開始した。
 力の抜けた手では、止められなかった。

「そして……あなたは……私の教え子だわ」
「だから?」

 背後の手が、目的地に達し、ゆっくりともみしだく。

「ああっ」
「やわらかいよ、せんせい」

 背後の手が、ブラウスのボタンをはずしはじめる。

「だめよ……だめ……」
「なにがダメなの?」

 背後の手を押さえながら、ふるえる声で諭そうとする。
 
「だめよ……あなたの将来が……一時の感情に押し流されないで……」
「オレは本気だよ」

 ブラウスの下から、青い下着に包まれた球体があらわれた。
 上にずらされる。
 ぷるん、と2つの白い球体がまろびでた。
 
「ああっ」

 絶望的な叫びをあげた。
 背後の手が、素早く乳輪の中心をつまみ上げる。
 躰が、びくびくっと、痙攣した。

「せんせい、感じてるんだ?」
「そんな……こと……ない……」
「じゃあ、これはどういうこと?」

 背後の手が、タイトスカートをまくり上げた。
 ストッキングを、引きずりおろす。
 
 その下からあらわれた青い下着は、分泌液で変色していた。
 背後の手が、下着の中に侵入し、ぬるぬるの淫裂を指でなぞった。
 
「はぅぅぅぅ……んっ……」
 
 立ったままのけぞった耳に、背後からささやかれる。
 
「好きなんだ、せんせい」

  好き。


 
 躰がふるえた。
 
「はうっ……はぁぁぁぁぁ……」

 いつの間にか、スーツは脱がされていた。
 教卓に手をつき、脚を逆Vの字に開かされている。
 淫裂を、硬いものがなでた。
 
「えっ?」

 頭を振って、必死に声を絞り出す。
 
「だめよっ……それだけはダメ。
 今なら、まだ間に合うわ。
 なにもかも、なかったことにして、
 明日から普通に……」

「イヤだ!」

 激しい拒否の声が、木造の教室に響いた。

「どうしてそんな事をいうんだよ。
 オレは、せんせいが好きなんだ。
 せんせいも、オレが好きだって……」
 
「落ち着いて。
 私も、あなたの事が好きよ。
 でも、世の中には、どうにもならない事があるわ。
 いつか、あなたにふさわしい、素敵な女性が……」

「そんなのイヤだ!
 オレは、せんせいが好きなんだ。
 せんせいじゃなきゃ、イヤなんだ!」 
 
「高校生にもなって、聞き分けのない事を言わないで……」

 教師という高みから見下ろされて、生徒は追いつめられた。
 やぶれかぶれのように、叫ぶ。

「そうさ。
 どうせ、せんせいからみれば、
 オレは聞き分けのないガキさ!」
 
「そんなこと……」
 
「……だから、我慢なんかしないんだ!
 できないんだ!」
 
 腰をぐいとつかまれる。
 豊かな尻肉に、指が食い込んだ。
 
「あっ、待って!」
「せんせぇっ!」

 ずにるるるるっ
 
「はあああああああぁぁぁぁぁっ」

 満たされる感覚に、長く、うめき声がもれた。
 
「ううっ、せんせぇっ!!」

 背後から、若々しい下肢が、白い尻を突き上げる。
 揺れる胸を、背後の手がもみ上げた。
 
「あうっ……だめっ……だめっ……」
「ううっ……うっ……うっ……」

 激しい息遣いが、誰もいない校舎に響く。
 しばらくして、二人に限界がきた。
 
「ああっ、せんせいっ……オレ……もう……」
「いいわっ……きて……
 いっしょに……いっしょに……」
 
「ううっ」
「ああああああっ」
 
 二人は同時に達した。
 
「ああああっ、柳瀬君っ、柳瀬君ーーーーーーーーーーーっ!!!」
「ああああっ、高円寺先生ぇーーーーーーーーーーーーーっ!!!」


 二人は、ぱたりと床に重なって倒れた。
 無意識のうちに抱き合う。
 互いに躰をまさぐり、キスの雨を降らした。
 やがて、二人は寝息をたてはじめた。
 
 教室に、静寂が戻った。


「…………」


 
 
 不意に、がらりと、教室の引き戸が開いた。
 小柄な影が教室に入ると、持っていたタオルケットを二人にかける。

「ごくろうさまでした」

 二人にささやくと、教室のすみに転がっている台本を回収した。

「……背徳の女教師 禁断の許されぬ恋 第一章……」

 表紙の文字を読むと、マドカは嘆息した。
 
「恭平さんも、マニアックな……」

 


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