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「よくもお姉さまをこんな目に会わせてくれたわね!
楽には殺さないから、覚悟しなさい!」ななかはびしいっと、レイミアを指さした。
「ふん……
誰かと思えば、裏切り者のFM77か。
負け犬に用はない。
見逃してやるから、さっさと失せろ」
馬鹿にしたようなレイミアのセリフに、ななかが憤激した。
「フラストのくせに言ったわね!
はい決定。
あんた、ギロチンの刑ね
よかったわね。
それ以上、ブスな顔、さらさないですむわよ」
「言わせておけば!
フーマンども、やれ!!」レイミアの命令で、サーフボード上のフーマン達が、おっとり刀で飛び出した。
ななかの目が光る。
年配のフーマンが、びくっと止まった。
突撃する若いフーマンを止めようとする。
「ぶぶぶっ、ぶぶぶぶーーーーっ」(やめろ、無闇に突撃するんじゃない)しかしその忠告は、遅かった。
素早く宙を飛んだななかは、フーマンが突き出す水中銃を簡単にかわすと、低い位置から右の手甲を突きだした。
ざくっ!!!
手甲の爪が、フーマンの背から突きだしていた。
腕を引き戻すと、フーマンの死体が、サーフボードに倒れた。「……ふっ」
スローモーションのように、ななかが立ち上がる。
灰色の髪に隠れた顔のなかで、形のよい唇が、にやりと笑った。
「ぶぶぶっ、ぶぶぶぶぶぶぶーーーーーーっ」(ヤツだ、ヤツが還ってきたんだ)恐慌に陥ったフーマンの集団に、ななかは襲いかかった。
大根でも切るように、次々とフーマンが倒れ、爆発する。
瞬く間に、フーマンは全滅した。
「次は、あんたの番よっ! ぶす!!」
勝ち誇るななか。
しかし冷笑を浮かべて、レイミアは気絶した恭平を指さした。
「この人間がどうなってもいいのか?」ななかは目を剥いた。
『恭平? あの馬鹿っ』
舌打ちするななかに、逆転の喜悦に満ちたレイミアの声が浴びせられる。
「この人間を死なせたくなくば、動かないことだな」
「なによ、そいつが死ぬ前に、あんたを倒せばいいんでしょ!!」
「ななかちゃん!」ななかの強がりに、慌てて口を挟むエスカレイヤー。
ななかは歯がみした。
「くぅっ!」レイミアは哄笑した。
「ふっ、ふふっ……ふはははははっ……
いきなり出てきて、手も足も出ずか。
無様だな、エスカレイヤー2号とやら」「くっ、人質さえいなきゃ、あんたなんか……」
「いいぞ。こういう場合、地球ではぴったりの言葉があったな。
『負け犬の遠吠え』だったな。」「くっ、くっそぉぉぉぉぉぉ!!」
叫ぶななかに4匹の蛇が迫った。
「動くなよ!
サーペント・ファング!」
「きゃああああああっ!」手首足首をがっぷりと噛まれ、宙に持ち上げられたななかは、沙由香の横にならんだ。
「いいざまだな、二人とも」
歯がみする二人の前で、レイミアが高笑いした。
ななかが泣きそうな顔で、沙由香に謝った。「ごめんなさい、お姉さま」
「しかたないよ。今は少しでも…」
「あいつにスキができれば……」レイミアは高笑いをやめると、宙の二人を指さした。
「喰らえ! 必殺! サウザンド・ファング!!!」残りの全ての蛇が、顎を広げて二人に襲いかかった。
「「きゃああああああああっ!」」腕に、脚に、胸に、腹に、腰に。
身動き出来ない二人に向かい、無数の蛇が群がった。
強靱な戦闘服を噛み破り、二人の肉を少しずつ奪い、神経毒を注入してゆく。「あうっ!……いたっ!……きゃあっ!」
時間差をおいて体のあちこちで発生する激痛に、二人は体をくねらせて耐えるしかなかった。
やがて悲鳴が途絶え、肉に牙を突き立てる音だけが響いてくる。
「…………」
唐突に、蛇が引き始めた。
その後には、全裸に近い状態で血まみれになっている少女が二人、宙に浮かんでいた。
血が肌を伝い落ち、毒を注入された筋肉が、弱々しく痙攣する。「…………」
雨が降り始めた。
夏の天候は急激に悪化し、二人のヒロインを濡らし、体温を奪ってゆく。
しかし、少女達は身動きすらしなかった。
筋肉の痙攣さえも、徐々に消えていく。動きが、止まった。
レイミアがひときわ高く笑った。
「ふふふ………ふはははははっ……はあっはっはっは!!!」稲光が奔った。
その中で、レイミアの酔ったような目が、宙の二人を見つめる。
ダイラストの悲願。
人類の守り手たる、エスカレイヤーの打倒が達成されたのだ。
地球の命運は、尽きた。落雷の轟音が鳴り響いた。
瞬間的に無音と化したその場所で、レイミアの声だけが響いた。「わたしが……このレイミアフラストが……
エスカレイヤーを倒したのだ!!!」
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