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第七章

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 『うるさいわねっ!!』

 脳内で絶叫すると、沙由香は立ち上がった。
 
 「恭ちゃ……」

 不意に沙由香はめまいを起こしてふらついた。
 頭を振って、意識をはっきりさせようとするが、うまくいかない。
 壁に寄りかかった沙由香の頭に、マドカからの通信が入った。
 
 『沙由香さん、息を止めてください!』
 『なに?』
 『睡眠ガスです!』

 慌てて沙由香は息を止めた。
 バイオボディの強靱な代謝機能が、ガスの影響を排除していく。
 あたりを見回すと、眠らされた女性があちこちに倒れていた。

 人数が足りないことに、沙由香はすぐに気づいた。

 「……恭ちゃんは?」

 恭平と、黒ビキニの女が消えていた。
 
 『隣の部屋に、恭平さんの反応があります』

 マドカの情報に従って、沙由香は隣のドアを細く開けた。
 中を覗き込む。
 
 沙由香の目が、険悪なものになった。
 
 その部屋では、恭平と黒のビキニの女が抱き合い、口づけをかわしていた。

 思わず入ろうとした沙由香を、背後の手が止めた。
 
 『入ってはいけません』
 『……マドカ』

 いつの間にか控え室に来たマドカは、恭平と女を見るよう促した。
 納得しがたい様子で、しかし沙由香は二人を覗き込んだ。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 黒ビキニの女は、恭平から顔を離すと、つぶやくように言った。
  
 「あなたは、7番の美奈子に満点をつける」

 虚ろな目の恭平が、同じ言葉を繰り返す。
 
 「オレは、7番の美奈子に満点をつける」

 女は笑うと、更につぶやいた。
 
 「あなたは、他の審査員をここへつれてくる」
 「オレは、他の審査員をここへつれてくる」

 「一人ずつ」
 「一人ずつ」

 女はニヤリと笑った。

 「いい子ね……はい、ご褒美」

 女がロケット型の乳房をはだけた。
 その先の尖った部分に、恭平はむしゃぶりついた。
 いつの間にか、女の下半身は無数のうねる蛇と化し、恭平の体を巻いてのたくった。
 

 沙由香が無線でつぶやいた。
 
 『もしかして……ダイラスト?』

 マドカがやはり無線で囁く。

 『間違いないですね。
  アイドルになって、ダイラストに都合のよい活動をさせるつもりなのでしょう』

 『そんな』

 『偶然とはいえ、たくらみを発見できたのは好都合でした
  沙由香さん、倒しましょう。
  変身です』

 『うん!』

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
 


 ばきぃっ!!!
 
 

 控え室の扉が吹き飛んだ。
 
 「そこまでです!」

 部屋に入ったエスカレイヤーは絶句した。
 
 下半身が無数の蛇という、異形の女怪人は、騎乗位で恭平にまたがろうとしていた。
 うねくる蛇に包まれて、恭平が快感に恍惚となっている。
 エスカレイヤーは、いつもの口上を忘れ、わめいた。
 
 「な、な、な……なにをしてるんですか!」

 あわてたのは怪人も同様だった。
 
 「お前は、エスカレイヤー?!
  くそっ、このレイミアフラストの計画を邪魔しにきたのだな?」
 
 「そ、そうでした……とにかくその人から離れなさい!」

 「なに? そうか……ふふん」

 レイミアフラストは蛇で恭平の体を縛めたまま、抱き上げた。
 恭平の頭を、豊満な乳房の間に抱える。
 
 「どうだ、一般人を巻き添えにできるか?」
 「くっ、卑怯なっ」

 エスカレイヤーの動きが止まった。
 レイミアが笑みを浮かべた。
 
 「そう、この人間を殺したくなかったら、動くんじゃないよ……」

 そう言うと、いきなりレイミアは身を翻した。
 恭平を抱え、下半身の蛇をうねくらせて、驚くほどのスピードで外へ逃げた。
 そのまま海へ飛び込む。 
 
 「あっ……待ちなさい!」

 エスカレイヤーは、レイミアフラストの後を追って、海へ飛び込んだ。


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