【 京夜のドリル日記 】
第5話「言えない秘密」
著:夕凪

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アンドルード海洋学園:船舶ルーム


いつものように二人でいる如月美夕と優美を見かけた京夜であったが...

「何か元気ないな、どうした優美」
「こんな時もありますよ〜〜〜ほっといてくださいよ〜先輩...」
元気のない優美に声をかけた京夜だが、ひねた返事を返すばかりの優美。
「優美ちゃんね、午前の実習で男子の股間を蹴り上げちゃったんですよ」
心なしか面白そうに事情を説明する美夕。


「だあって、アイツいつも割り込んでくるから、むかついてキックしたら急に振り向くんだもん」
「それで急所にヒットか....そりぁ痛いだろうな」
男にしかわからぬ痛み。京夜はその名も知らぬ男子に大いに同情した。
「そしたら彼、うずくまって動かなくなってしまって...騒ぎになったのよね」
と、あきれた風に優美に問いかける美夕。
”仲がいいねお二人さん!”とか”あいつは最強だ!”とか言われて、もーサイアク〜
ぶ然とした顔でむくれまくる優美。

「そいつも優美に気があるんじゃないのか?さわやかな青春話だ」
「私もそう思うなぁ〜いいなぁ〜優美ちゃん
と美夕と顔を合わせ、からかう京夜。
「もう、やめて、やめて!私、早退したい気分なのにぃ.....」
「なんだ、好みの男じゃないのか?うーん、つまらん
と、むくれて落ち込む優美の頭をポンとたたく京夜。


「どうも、そうみたいなんですよ。でも私はお似合いだと思うなぁ〜」
「あんまり贅沢言ってちゃイカンぞ、優美」
「................。」
「そうそう、理想の高い事ばかり言ってたら、素敵な恋はできないわよ優美ちゃん」

「なんだったら、俺がキューピット役を買ってでても....ん?
「.............................。」
沈黙する優美。
”さすがに、からかい過ぎたか?”と京夜が思った瞬間
いきなり京夜と美夕をぴったり並ばせ、すこし離れた位置に陣取る優美。



「新婚さん、いらっしゃ〜〜い!」
目が点になる京夜。
「な、な、な、何、言い出すの優美ちゃん!新婚さんだなんて(きゃー)。ね、ねぇ?京夜兄ちゃん」
顔を真っ赤にして、慌てながらも、どことなくうっとりして京夜に問いかける美夕。
「そうじゃなくて、からかいすぎたんだよ。優美が逆襲に出たんだよ」
小声で美夕に諭す京夜。
「お二人はどこからいらしたんですか?」
「.............。」
「ごめんね。優美ちゃん。言い過ぎたわ」
「それはいいところから来られましたねー」

「お、おい優美...」
「優美ちゃん。本当にごめんなさい」
「で、お二人はどこで知り合われたんですか?」

二人の反応にお構いなしに、さっきの沈んだ表情とはうってかわってノリノリで喋りまくる優美。その様子はまるで何かのTV番組の司会者のようでもあった。


「おい、何か優美おかしくないか?
あまりの優美のテンションの高さに異様なモノを感じて、美夕に小声で話しかける京夜。
確かにそこには、単なる悪ふざけを超えた何かがあった

そう問われて、美夕の脳裏には思い当たる節が....
”もしかして、優美ちゃん『桂三枝モード』に入ってしまったんじゃ...”
情緒不安定なところに、京夜に頭をポンとたたかれたのがスイッチになったのでは.......
確かに優美の喋りはTV番組「21世紀.新婚さんいらっしゃい!」の司会、桂三枝そのものだ。

もうお母さん、変なモード入れて....とにかく早くモード解除しなくっちゃ”
「いや、大丈夫です京夜兄ちゃん。時々優美ちゃんああいう
すね方をするんですよ。あはは....。ち、ちょっと待ってて下さい」

と慌てて優美に駆け寄る美夕。
京夜は”すね方とかじゃないような”気がしたが、訳がわからないので優美にまかせることにした。


「なるほど、職場で暖めた恋成就というわけですか」
”え〜と『桂三枝モード』の解除は確か.....”

優美の背後に回り、制服と下着の下からそれそれの手で優美の左右の生乳をむんずと掴む美夕。
”右乳首を7回押してから、左を5回、そして両方を11回だったはず。1、2、3.....”
「ははぁ、最初は新婦さんの親御さんがいい顔しなかったと。そりゃ大変でしたな」
”あっ!そう言えば乳房を圧迫しながら押さないと、ボタン受付状態にならないんだったわ!え〜と最初から1、2、3.....”
「新婚旅行は熱海にいかれるんですか。
いいですな〜熱海



まるで桂三枝の魂が乗り移ったかのごとく喋りまくる妹
その背後で妹の乳を揉みまくる姉



そんな、異様な光景を前にたまりかねて京夜が声をかけた。
「美夕。おまえ何してるんだ????????」
「えっ!?」
不意に声をかけられ、何回押したか頭から飛んでしまう美夕。
「いや、あの〜これは.......」
「熱海の温泉はいいですよ。心と体も温まって」
”京夜兄ちゃん、そんな目で私を見ないで...”
「温泉の後はしっぽり二人でさらに温かく。いいですなぁ〜」
”でも、早く優美ちゃんをなんとかしないと...”

もう、美夕は泣きたい気分だった。


”こうなったら強制解除しかないわ”
アレをやるのだ!
”でも、私にできるかしら...”
やるしかないのだ!
追いつめられ混乱している美夕はそう決断した!

「これは、一体.....」
と美夕の鈍い反応に京夜が話しかけようとした瞬間!
京夜は見た!
美夕の瞳がギラリと光るのを!
そして、宙を一回転する優美の体を!
美夕がくりだした
バックドロップを!

ゴオキッ!
バックドロップをくらい沈黙する優美
さらに目が点になる京夜。


「おいおい。いくらなんでも手荒すぎないか?」
倒れた優美の下からもぞもぞ這い出し安堵の表情を浮かべる美夕に京夜はそう聞かずにはいられなかった。そう解釈せざるおえなかった。
「え!?これはその.....い、いつもこんな感じなんですよ。あはは....」
”こんな感じじゃないだろ”とツッコミを入れたかった京夜だが、何か美夕に事情がありそうな雰囲気だったので話の方向を変える京夜。
「それにしても、見事なバックドロップだったぞ。おまえ意外な才能もってるな〜」
「あの....これは...ち、父がプロレス好きで....」
まさか、バックドロップが強制解除とは説明できない美夕は、再び泣きたい気分になる。


そうしている内に優美が目をさます。
「目覚ましたか。おまえ頭大丈夫か?かなりまともに技が入っていたぞ」
「優美ちゃん大丈夫?
無言で立ち上がり、服の埃を払う優美。
そしておもむろに美夕を睨み付け指さすとこう言い放った!


「俺は!オマエのかませ犬じゃねぇ!」
ああああっ!優美ちゃん今度は『長州力モード』になったんだわ!もうお父さん、変なモード入れて....
(注. 長州力は新日のプロレスラーで、若かりし頃、藤波辰巳に言い放った有名なエピソード。わからない人はプロレスマニアの人に聞こう!)


美夕の心の絶叫とは裏腹に、訳が分からずとまどう京夜。
「何だ!?何だ!?一体どうした優美
しかし、優美は止まらない。

既に”力(リキ)ラリアート”のモーションに入っている!
「京夜兄ちゃん危ない!
優美の動きを察知して京夜を庇おうとする美夕。
しかし、それはいくら不意を衝かれたとはいえ、通常であれば楽にかわせる京夜の動きを止める事になった。
ドコッ!
優美の”力(リキ)ラリアート”を喰らい、鈍い音を残して宙を舞う京夜!

”さすが姉妹。見事なコンビネーションだ”
そんな感想を漏らしつつ京夜は意識を失った.......



★ ★ ★ ★ ★ ★

その後、一体何が起きたのか知る者はいない。
数十分後、擦り傷だらけで気絶した3人が発見され、
以後、海洋学園では「校内プロレス禁止令」が出されたという。
 

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