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いつもと違う感じ |
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いつもと違う感じ
ミドリガオカをとられた。 そう、本拠地を支配されたのである。 それはいまから数日前からの出来事である。 原因は悪司が偶然足をはこんだクロモン市場での福引で、みごとリゾートホテルの宿泊券をもらったことにある。 「旅行・・・行きてぇなぁ・・・」 悪司がそう考え、皆に話すと大杉や島本、殺は反対した。 「悪司、いまはわかめ組と戦争中だ。観光地などには行く暇などなかろう。」 殺は悪司ににじり寄りながらそう言った。 たしかにそうだ。今はそんなことをしている場合ではない。 しかし悪司は 「でもよ、ここのところみんな疲れてるし、士気も下がってる気がするんだよ。だからさ、 二泊三日でもいいからいこうぜ。」 現在の青年奉仕団は全員で10名前後で、旅行にいってもそんなにお金はかからない。 二泊三日なら、大丈夫だろう。悪司はそう判断した。 「まぁ、お前がそこまで言うなら別によいが・・・。」 殺は少々不安ではあったが、実際激務に追われ、みんなの疲れもピークになっているのはわかっている。 「私も若がそこまでおっしゃるなら・・・。」 「そうですね・・・。」 島本も大杉もしかたなく賛成した。 「よっしゃーー!!!ならば今からでも行くぜ!!全員支度しろ!!!」 そして旅行にでかけた。 正直な話、このホテルの周りはとてもじゃないけど綺麗だとは言えない。 戦争の傷跡はやはり色濃く残っている。しかし、 こんな暗い時代だからこそ、ひとつの娯楽がなりたつのではないだろうか。 悪司がのんびりくつろいでいると、廊下を走る音が聞こえた。 「なんだよ、うるせーな・・・・」 廊下のうるさい奴が悪司の部屋の障子をあけ、 「大変です悪司さん!!!じつは・・・・・」 「なにーーー!!??ミドリガオカが落ちただぁ!?」 エリートヤクザからの報告を受けて、悪司は呆然となった。 まさかこんなことになるなんて、夢にも思わなかったのだ。 「それは確かなのか?」 殺が問うとヤクザは大きく頷き、写真を悪司と殺に見せた。 それはまぎれもなく青年奉仕団の本部であった。 「現在はわかめ組の支配を受け、数十名のわかめ組組員が占拠しております。」 「しかたねぇ・・・とりあえず様子だけでも見ておくか・・・。 とりあえず殺ちゃんは組のやつらつれて港の倉庫にでも隠れていてくれ。」 「はてさて、どうしたものか・・・。」 ここは港の倉庫である。かなり古いものだが広さは十分すぎるほどあるので満足している。 悩んでいる悪司を尻目に殺は、 「盗られたなら、取り返せばいい」 殺の顔は怒りに打ち震え、今にも殴りこんで行きそうである。 「おいおい、ちょっとまちなよ、殺ちゃん。」 「なぜ止める?すぐに行って皆殺しにすればいいだろう。」 殺はその行為がさも当然であるように、悪司に言った。 「でもよ、相手は数十人、しかもいざ戦争になると一日二日じゃおわらねぇんだぜ? 金もかかるし、負傷者の手当てもしなくちゃなんねぇ。」 殺は悪司の顔を見てじっとしている。 殺にもそれぐらいのことはわかっている。しかし、ただ黙ってみているのは殺の性格ではない。 「ではどうするのだ?」 「とりあえず家だ、それから金。」 悪司は椅子にもたれながら、今後のことを考えた (家はとりあえず倉庫でいいが・・・金はどうしょうか・・・) そこに島本が現れた。 「若、資金のことについて、お話が・・・。」 「ん?なんとかなるのか?」 悪司が聞くと島本は顔を強ばらせ 「いえ、正直なところ、どうしょうもありません。 借金しようにも青年奉仕団の免許証でもないかぎり、金を借りることすらできないでしょう。」 免許証は、市議会から交付されたものである。 この免許証があれば、青年奉仕団として認められるのである。これは、企業での信用と類似する。 ようは、市議会にみとめられた組織なら、借金なんて無担保で借りられるのである。 もちろん、現在は青年奉仕団本部の金庫の中にある。 「そうだな・・・とりあえずなんとか免許証を手にいれて、金を借りるしかねぇな」 いとも簡単に言う悪司に殺は 「だからどうやって?」 「簡単だよ。あいつらの仲間にとってこさせればいいんだよ」 島本がなるほど、という顔をする。 「たしかにそうですね、向こうの仲間なら、事務所内にいてもなんの疑いもかかりません」 「しかし、どうやって敵を仲間にするのだ?」 殺の問いかけに悪司はニカッっと笑って 「まぁ、みてな。」 数時間後 顔を赤らめた女性が悪司と共に帰ってきた。 「誰だ、そいつは?」 殺の問いに悪司は 「仲間だよ。俺の忠実な・・・」 殺はそれを聞いたとたん、小さく笑った。 とりあえず金はなんとかなった。 悪司がこました女が免許書を持ってきたのである。 後は仕掛けるだけである。だが、 向こうにはそれぞれ格闘に長けた人間が数多くいる。 いくら悪司や殺、大杉が強いとはいっても、人海戦術の上、そんな人間から攻撃を受ければただではすまない。 「ということは、一人一人潰すか・・。」 悪司が言うと大杉が 「そうですね。やはり向こうのほうが戦力的にも金銭的にもかなり余裕がありますからね。 ここは確実に行きましょう」 さきほどまで悪司と大杉は近くの違う倉庫で訓練を行っていた。 「しかし、とんでもないことになっちまったなぁ・・・」 悪司は後悔していた。自分の責でこんなことになってしまったのだ。 (尻拭いは自分でするさ・・・) 悪司はそう思った。 一方、わかめ組では、悪司を捜索していた。 理由は簡単、殺すためである。とりあえず組織は潰したとはいえ、悪司は油断ならない。 現在のわかめ組組長の市橋蘭はそうかんがえていたのだ。 事実、わかめ組を追い出された悪司は数日で自分の新しい組織を作ってしまったのだ。 そんなことをまったく知らない悪司はヤクザ数人と買出しに出かけていた。 「おっ、これうまそうだなぁ、おい、これも買うぜ。」 ここは近所の市場である。もちろんクロモン市場ではない。 小規模の市場ならどこにでもある。いちいちクロモンまで行ってられない。 「さて、そろそろ帰るか」 店の外にでようとした悪司の前に少女が立っていた。 髪はピンク色で極道映画などでよく見るさらしを巻いている。 年は18ぐらいだろうか? 勢いあまってぶつかりそうになったが、何とかよけ、 「おっと、あぶねぇ・・お嬢・・・!!」 その少女に悪司は見覚えがあった。 その少女は悪司が戦争から帰国し、自宅であるわかめ組にかえったとき、悪司を叩きのめした少女だった。 「おっ・・お前!!たしか森田とかって・・・・」 と突然、小刀をとりだし悪司に切りつけた。 「こ・・んのぉ!!」 一歩うしろに下がり、攻撃をかわしたかに思えた・・・が、 どがっ!! 小刀でなぎ払った反動を利用し、回し蹴りを悪司のわき腹にヒットさせたのだ。 「ぐはっ!!!」 少女とは思えない蹴りに悪司は二メートルほど弾き飛ばされた。 「どうでやんす?あたしの蹴りは効くでやんしょう?」 「こ・・・のぉぉ・・・・」 倒れた悪司に森田は飛びつき、小刀で刺し殺そうとしたが、なんとか回避し、蹴り上げながら投げ飛ばした。 「いてて・・・てめぇ・・・・」 森田は怯む様子など微塵もみせず、悪司を見ていた。すると突然小刀を投げつけた。 難なく悪司はかわしたが、その動きを読んでいたのか、跳躍し蹴りを悪司の顔に当てた。 しかし、さすがにただやられているだけではない。 悪司は森田の足を掴み、地面に叩きつけた。 「あぅぅ!!」 森田の短い悲鳴を聞いたと同時に何発ものパンチを体全体に放った。 馬乗りになって、殴りつけているのだ。だが、悪司のパンチを受け止め、逆に悪司の顔面にパンチを叩き込んだ。 「ぐっっ・・」 馬乗りの体制から離れざるをえない。あまりの痛みに退いたのだ。 鼻血がでているのか、鼻をさわった手に血がついている。 「さっきのはかなり痛かったでやんすょぉ〜」 森田は間合いをつめ、蹴りをはなった が、今度は見逃さなかった。 悪司は蹴りを受け止め、全力のパンチを人体急所である水月に放った。 「ぐっっっ・・・・。」 さすがの森田も気を失い、その場に倒れた。 「はぁ・・・はぁ・・・・まったくなんだよ・・・・・。」 めちゃくちゃなこの女に半分呆れ、半分焦る。 そしてふと気がつく。一緒に買い物に来ていたヤクザたちのことである。 ヤクザたちは側で傍観していた。 「おい、てめえら、ちょっとは手伝えよ!!」 「悪司さんとその女の戦いがもの凄くて、手がだせませんでした・・・」 「・・・・・・・」 たしかにそうだ。悪司も思った。 少女の名前は森田愛。 悪司はこまして仲間にしようかともおもったが、二度のボコボコにされて、少々虫の居所 が悪いのか、刑務所送りにしてしまった。 「大変でしたね、若」 島本は苦笑いしながら悪司に話しかけた 「ったく、大変なんてもんじゃねぇって」 悪司は素直にそう思った。 帰国して、疲労がたまっていたとはいえ、一度は悪司を叩きのめした森田が弱いわけがない。 森田との戦いから三日、悪司は傷を直すために病院で治療を受けた。 山本家の人間は、なぜか傷の治りが人より早いので、完治するまでそんなに時間はかからない。 というか、傷自体大したことない。 「そうだ、殺ちゃんは?」 「殺様は学校です。」 「そうか」 悪司はなぜか殺のことが気になっていた。 (まぁ・・・殺ちゃんのことだから心配無用か・・・) 同時刻 殺は帰宅途中だった。 いつもは向かえの車がきているが、今日はなぜか来ていなかった。 徒歩で帰ろうと思い、歩いていたのだが・・・・ 先ほどから視線を感じる。 殺は拳銃をいつでもとりだせるように構えていた。 いくら殺でも学校にロケットランチャーやらマシンガンなんてもってはいかない。 普通の中学生だ。 「そこにいるのはだれだ?私に気づかれていないとでも思ったのか?」 物陰から、一人の女と数人のヤクザがあらわれた。 「なに用だ?」 「あなた・・・岳画殺よね・・・?」 殺は答えなかった。 「あなたと山本悪司の叔母さんでしょ?」 女は、短めの髪に黒の革のスーツだろうか。手には拳銃が握られている。 (この女・・・) 殺は拳銃を抜き、女にむかって発砲しようとした。が、 バキューン!! 銃声がしたかと思えば、殺の拳銃はさじき飛ばされていた・ 「くっ・・・!!」 キッっと、殺は女を睨んだ。 「なによ、その目・・・」 バキューン!! バキューン!! 二度殺に向かって女が威嚇のつもりで発砲した。 しかし、 バキューン!! 「うっ・・」 三発目は直撃はしてないものの、殺の右手をかすめた。 さすがに痛い。殺の顔がすこし歪んだ。 が、すぐにその表情も消え、また女を睨み続けた。 「へぇぇ〜〜〜・・・怖がらないんだ」 女が首を振ると、ヤクザが殺に飛びかかり。 殺の手足を地面に押さえつけ、動けないようにした。 いくら殺でも、中学生の女の子だ。大人の男の力には適わない。 女が殺の顔の前まで自分の顔を近づけ、拳銃を頭に押し付けた。 「怖がってみせなさいよ・・・・」 しかし、殺は表情を変えない。 「怖がれっていってんのよ!!」 女は拳銃の底で殺の頭を殴った。頭から血が出ている。 もうだめだ 素直に思った。私は殺される。 「なぜ私を狙った」 殺は女に聞いた。 「山本悪司だって、自分の叔母さんが殺されればとても悲しむわね。 私はあいつを恨んでいるのよ、あいつの責で、私の人生めちゃくちゃよ!!」 女は泣いていた。 泣いてはいたが、先ほどまでと表情はまったく変わっていない。 「そろそろ死んでもらいましょうか」 銃口を殺の頭に押し付け、引き金を引こうとした瞬間 ぎゃぁぁぁぁ!! 女の後ろから悲鳴が聞こえてきた。そこに立っていたのは大杉であった。大杉はヤクザの頭を壁に押し付けた。 ごきゃ! 嫌な音がする。 押し付けられたヤクザはそのまま倒れていった。数人のヤクザが大杉に向かったが相手になどなるはずもなく、叩きのめされていった。 「ひ・・・ひぃぃ・・・」 女の顔は真っ青になっていた。 まだヤクザ達がいるのに、自分だけ車にのり、逃げ出そうとした。 大杉が見逃すはずはなかった。が、 「またれよ、大杉殿。」 殺は大杉に声をかけた 「大丈夫ですか?」 「ああ、心配はいらない。かすり傷だ。それよりあの女は私が殺す。だから今は追わないでくれぬか?」 大杉は頷くと、のこりのヤクザたちを一掃し、殺を助けだしたのだった。 「ところで、なぜ私の場所が?」 「若に頼まれ、さがしておりました。帰りが遅いと・・・・。」 「そうか・・。悪司が・・・」 殺はうれしかった。 そしてその夜、わかめ組の玄関前で女がただの肉の塊になっていた。 加賀元子は、悪司のことを考えていた。 小さいころからの幼馴染だが、元子は悪司に特別な感情をいだいていたのも事実である。 ウィミィに負け、女性優位主義が広がるにつれ、父親の加賀太郎に対するコンプレックスは高まっていった。 元子は悪司よりも、自分がこれからどうやってまとめていくか、そればかりが頭をよぎる。 悪司を仮に倒したとするならば、それに対する気持ちの整理がつき、すべてがうまくいくような気がする。 「森田愛は刑務所、辻屋晴子は謎の焼死(というかぐちゃぐちゃ)、どれもこれも悪司に関係することじゃない・・・。」 好きな人を殺す・・・いや、本当に好きなのかどうかはわからない。 子供のときはそうだった。でもいまはわからない。だからためらいなんてない。 今の現状・・・己の保身で精一杯である。 元子は悪司と戦うことに決めたのだった・・・・。 「おや元子、どこに行くんだい?」 現わかめ組み組長の市橋蘭である。 「悪司をさがしに・・・」 「そうか・・・。やはり悪司は油断ならない奴だったよ・・・。もう幹部もあんた一人だからね・・・。」 「・・・・・では、行ってきます」 元子はわかめ組の玄関からでていった・・・・。 元子が悪司の目の前にたどり着いたのは数刻あとだ。 倉庫で一人寝ていた悪司の枕元に立っていた。 「おいおい・・・・、まじかよ・・・」 正直、悪司はこのとき冷や汗をかいた。 このまま寝ていれば確実に殺されていたからである。 元子はムチ持ち直し、 「いくよ、悪司!!」 ビシッ!! 間一髪で回避した。 ビシッ!! ビシッ!! ムチの音が響く。悪司は回避するのがやっとで、攻撃などまったくできない状況だった。 元子のムチは狙いたい場所、距離なども完璧にコントロールできる。 懐に飛び込めば弱いが、なかなか飛び込めない。 悪司は焦っていた。このままでは勝てない、どうするか・・・・。 まず、ムチをなんとかしないといけない。 幸いにもこの倉庫にはコンテナが大量に搬入されていたので、隠れながら戦うには持ってこいなのだ。 悪司はコンテナの上に登り、元子はすぐ下を通り過ぎるのをまって、上から飛びついた。 突然後ろ(上だけど)に現れた悪司にビックリして、元子は反応が遅れた。 後ろからちょうど腕で首を絞めるような格好になった。 「ぐっ・・・」 「ほらトコ、ムチなんてあぶねぇもんは没収だ」 悪司は元子のムチを取り上げた。 「さて、おめぇにはもう勝機はねぇ、おとなしくかえりな」 「私を見逃すの?」 「ああ、やっぱり幼馴染は殺せねぇよ。」 「そう、でも今度は容赦しないから・・・」 倉庫からでた元子は内心、かなりほっとした。もう悪司を殺さないですむ・・・ しかし、今後自分の部隊をまとめるにはどうすればよいのか検討すらつかなかった。 そこに、ある男の影が忍び寄っていることに元子は気がつかなかった。 「さて、そろそろ乗り込むかぁ・・・」 悪司はそう言って皆に準備させた。 目標はわかめ組本部である。 幹部クラスの人間はもういない。組織の状態はほおっておいても崩壊するのではないこと思うぐらい不安定である。 それはそうである、幹部が短期間のうちに全員にいなくなれば 統率するものがいなくなって命令なども下までいかないのが現状である。 しかしなぜか市橋蘭は焦ってはいなかった。 「た・・・大変です、悪司たちが攻めてきました!!!」 「・・・・・・・そうかい。」 市橋蘭は、もう勝ち目はないと思い、わかめ組を降伏させるつもりでいた。 ヤクザ数もそんなにいない。幹部もいない。加賀太郎、加賀元子は行方不明。 「どうしようもないね、お手上げさ・・・」 そこに悪司が現れた。 「よぉ・・・・お蘭。組を返してもらうぜ」 欄は酒をもってきて、コップに酒を注ぎこんだ。 「若、一杯どうだい・・・?」 無言で悪司は酒をうけとり、飲み干した。 「もう、降参だよ・・」 こうして悪司はわかめ組を取り返したのでありました。 あとがき はじめまして、ナッピーです。大悪司の小説、書いてみました。 初めて書いたのでどきどきです。訳がわからないところとか、稚拙な文章は勘弁してください。 なんか各キャラクターの性格が微妙に変わっていたりします。 誤字脱字も多いでしょう。ご勘弁を。 |