バイオレンス・ヒーローズ
第三話「ワンシーン」
「シーネル、おまえなんでこんなとこにいんだ?」
あれから、悪司の目の前に現れたシーネルは、ふらふらとしたおぼつかない足取りで悪司に歩み寄った。そして悪司のかいなに抱かれるように寄り添った。
シーネルの部屋を守っていた二人、そして駆けつけた兵士たちも、ぽかんとした顔でそれを見ていた。
その後ようやく落ち着いてきたシーネルは兵達を下がらせて、悪司と二人で部屋の中に入っていった。
元子は何も言わず部屋の外で待っている、剣士のほうは不思議そうに彼女を見た。
「悪司…」
潤んだ目で悪司を見つめる、悪司の言葉など耳に入っていない様子だ。
シーネルはエデンで悪司にこまされて以来、悪司のテクの虜になっていて、それから悪司の体を忘れられずに、夜な夜な一人で自分を慰めていたのだ。
「…、おまえは、本国に帰ったんじゃないのか」
答えることなく、悪司をその潤んだ瞳で見つづけてる。
(しかしまさかここの司令官がシーネルとはな、これは話がはやいな)
この視線の熱さなら万事うまく行くだろう、と、悪司はシーネルを抱き上げ、そのままベットへ向かう、そしてシーネルも待ちきれずに、すでに悪司の首筋を吸い始めている。
悪司も昔の記憶を引き出し、お姫様だっこの体勢のままで、器用に手でシーネルの感じるところを弄る。
夢にまで見たこのひとときは、どうか夢ではないように。シーネルは、そう切実に願った。
部屋の外で元子は待っている、床に腰を下ろし、静かに悪司を待っていた。そこにさっきの青年剣士が近づいてきた。
「君たちは、ニホン人?」
と、ニホン語で話し掛けてくる。
「?そうだけど。どうして?」
異国の地で母国語で話し掛けられ、元子は少々驚いた様子だ。
「うん、さっきシーネル司令が呼んだあの男、“アクジ”って、ニホン語の発音っぽかったからさ、もしやっと思って」
「そう、あなたもニホン人?」
「いんや、おれは中国人だよ」
青年は元子の前に腰を下ろす。
「へえ、それにしてはうまいじゃない、ニホン語」
「ああ、子供の頃ニホンに居たからな、自然に覚えたんだ」
「そう」
「そう。ところで、君とさっきの男って、どんな関係?」
「…夫婦だけど?」
「えっ」
青年は意表を突かれたのか、きょとんとした表情で、何かを考えてるようにみえた。
「フウフって、あの…夫婦ってやつか?結婚したって言う…」
「そうだけど、何をそんなに驚いているの?そんなにニホン語上手だったらわかる言葉でしょう?」
「いや、そう言うんじゃなくて…うん〜〜」
何か言いにくい事があるのか、青年は変にうなっている。
「?」
「あの男と…シーネル司令の関係って…わかんない?女性のほうが敏感だと思うけどな」
どうやら、悪司がほかの女を抱いているのに、元子がこうしてこんなに落ち着いている事が理解できなかったらしい。
「ああ、そのこと」
こともなさげに言う元子、それが青年をさらに困惑させたらしい。
「うん、その事…って、やっぱ知ってんの?」
「しってるよ」
「う〜ん、そんなにあっさり言っていい事なのか?」
「言いたい事はわかるわ」
「ああ…うん…」
「でも別にいいのよ、あれが悪司の仕事だから」
「はあ、仕事ねえ、よくわかんないけど」
「悪司はあの女司令官を手篭めにして、いいなりにして色々と協力してもらうのよ」
「仕事って、ニホンの女性ってみんなそう物わかりがいいのか?大和撫子っていうのか?」
「育ちよ、私と悪司は幼馴染、その分悪司の仕事には理解してるの」
「ふ〜ん、仕事ねえ…」
「何か言いたそうな顔だけど?」
「ああ、差し出がましいかもしれないけどさ、君、それで本当にいいの?そういうのって変じゃないのか?」
「べつに、悪司と私で納得している事だから、見ず知らずのあなたにどうこう言われる筋合いはないわ」
「…」
それっきり、青年は何もいわなくなり、門の前に戻って坊さんの隣に腰を下ろした。
だがやはり、どこか納得が…理解できない様子であった。
「はあ…」
悪司の上に身を寄せ、シーネルは満足そうだった。
計五回、体力の続く限りに悪司を求めた、最初のうちは主動的に動いてもいたか、次第に体力がついて行けなくなり、段々と悪事のなすがままにされた。
いまはこうして、満足感に浸っている。
「どうだシーネル、もう満足か?」
「…うん」
「おし、じゃあ仕事の話をしようか、俺がここに来た理由は察しがつくな」
「ええ、悪司はこの街がほしいのでしょう?協力するわ、ウィミィの…」
「ああ、違う違う、この町は征服するけど、それの過程も楽しみてぇ、おまえはただ見てみぬふりをすればいい」
「そう、わかった」
そう言われ、シーネルはどこか落胆しているようだ。
「それでな、一番の問題が言葉なんだよ、ウィミィ語はわかるけどよ、この国の言葉は出来ねぇんだ、俺の通訳できるやついねぇかな」
「分かったわ、心当たりがあるから、それも手配する」
「おっ、そんな都合のいい奴がいんのか」
「いるわ、一人だけね」
「そっか、じゃあ頼む」
悪司と元子の二人は宿に戻ってきたのは、朝日が昇ってきた頃だ、一仕事をした悪司はもちろん、ずっと門の外で待ったいた元子も疲れていたので、部屋に入ると二人はパタッとベットの上に倒れこんだ。
シーネルは悪司のとまっている宿の場所を聞き、午後にでも通訳のものを送るといった。
意外と、ことはうまく運んだ。相手がシーネルだったので、抵抗もなく、一からこます必要はなかったが、その分満足させるまでに時間がかかった。
疲れた二人はすぐに眠ってしまう、仕事柄あまり深い眠りにつくことのない二人だが、このときはなぜかよく眠れた。
そして、ゆめをみた。
夢の中では二人の剣士が戦っている。悪司は元子と一緒にそばで観戦している。
二人の剣士の戦闘スタイルはまったく違う。
頑丈そうなよろいを身に着け、マントを着用している一人の剣は力に任せ、斬り主体のものだが、それからは豊富な実戦経験があるようで、理屈抜きで強かった。
もう一人ごく普通の服装で、長髪の青年だった。かれは技主体の剣で刃をフルに使い、斬り・突きに、そして前後左右と、ステップもおりまぜて、攻撃を受け流しつつ反撃を伺っている。
十数合うちあって、よろいの男が剣を大きく振りかぶると、まばゆい閃光の後、二人の間に爆発が起きる、そして巻き起こる煙幕が薄れて行くと、よろいの男が勝ち誇った顔で立っていて、長髪の青年の剣は折れて、袈裟きりにされた胸から血がぽとりと滴り落ち、足元に血溜りを作りながらも、倒れまいと必死にふんばっていた。
「もういい、後は任せろ」
いって、悪司は一歩前に出る。青年はそれが聞こえたのか、それとも聞こえなかったのか、ただ一言、
「背中は…見せねえ…」
と、渾身の力を振り絞って後ろに倒れた。
そして悪司とよろいの男が激突する…。
妙な夢だ、と思い、ぼりぼり頭を引っかきながら起き上がり、ぼんやりとして目であたりを見まわす。
「おはよう、よく眠れた?」
元子はすでにおきていて、ベットのそばにある椅子に腰掛けていて、悪司の寝顔をずっと眺めていたのだろう。
「ああ、ぱっちりだ」
「じゃあおきて、もうお客様が来てるわよ」
言うと、元子から絞ったタオルを受け取り、それで顔を拭き、頭をすっきりさせる。
「客?」
「シーネルが送ってきた人よ、外に待たせてあるわ」
「そうか」
ぱっと起きて、ドアをあけて外に出ると、そこには昨日あったメガネの剣士がいた。
「おはようございます」
「おう、おはようさん」
「シーネル司令の命令で参りました、これからよろしくお願いします」
「そうか、まあなかにはいれ」
三人は部屋に中にあるテーブルに行き、それぞれ椅子に座ると、悪司が剣士の名前を聞いた。
「はい、俺の名前はイー・ムーノン、ムーノンと呼んでください」
「へえ、てえと…中国人って訳か」
「ええ、昔日本に居ましたもんで」
「で、中国語ももちろんできるよな」
「ええ」
「シーネルから、俺のやりたい事は聞いてるか」
「はい、裏社会においてこの街を制する、と言う事ですね」
(この街だけじゃねえけどな)
「まあ、そうだ、それでまずおまえの知る限りこの町の情報を教えてくれ」
続く…
後書き
どもども、毎度おなじみの高森ッス。
第三話、ようやくあがりました、今回はやや会話メインな感じがありますが、そのとおりです、訳は不明です、なんとなくこうなっただけです(オイ)。
それで、オリキャラである「イー・ムーノン」ですが、ここで少し紹介します、彼は子供の頃日本に居た事も有り、会話面では問題なくこなせています、ただ教育は受けていないので五十音すらまともに書けない状態です。
そして、彼は「華山剣法」の使い手という事になっています、現時点ではゲーム本編の悪司の初期強さと同じぐらいです、強くなく、弱くもなくといったところでしょうか。ちなみに日本にいた頃のあだなは「ムーミン」でしたが、これはあの「む〜みん」様とはまったく関係がございませんので、あしからず(笑)。
またしても色々伏せが多いですが、そのぶん長編になると思いますので、もうしばらくお付き合いください、ではまた。
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